公益財団法人 禅文化研究所

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ランカーに入る ―すべてのブッダの教えの核心―
常盤義伸(花園大学名誉教授)著
B5判 上製本カバー装 376ページ

定価:11,000円(税込)
発行日:2018/7/30
ボサツ行の意義を解説する
『楞伽経』には四巻本、十巻本、七巻本の三種があるが、初期の禅宗ではこのうち四巻本楞伽経を所依の経典とし、達摩大師は慧可にこの四巻本を以てその心要であると伝え、日本の禅門でも最も読まれたのがこの四巻本である。本経の主題は「心意識を離れた自覚聖智を証得せよ」ということである。
西暦四三五年、インドの三蔵法師グナバドラがランカー島から『楞伽経』の梵語原本を中国南朝宋に齎し、その後四四三年に漢訳したものの写本が現在も大正新脩大蔵経第十六巻に収められている。その梵語原本が南北朝時代にすでにないことを知らなかった虎関師錬禅師は『仏語心論』の中で、直接梵文に接することができないことを嘆いている。
この漢訳を基にして、失われてしまっていた梵文テキストの復元を試みてきた著者を中心とする禅文化研究所楞伽経研究会では、復元梵文の確認とその日本語訳の作成、また漢文の訓読を進めてきた。そのうちの梵文復元と日本語訳を定稿した成果が本書である。

まえがき      i
 宝経巻一・第一章 本文訳と研究      1
 宝経巻二・第二章 本文訳と研究      63
 宝経巻三・第三章 本文訳と研究      119
 宝経巻四・第四章 本文訳と研究      169
 (梵文)Laṅkāvatārasūtram Sarvabuddhapravacanahṛdayam
 

1.「あるとき世尊がランカーの町に留まっておられた」    5
2.「マハーマティ・ボサツが世尊を偈でもって賞賛した」    7
3.「マハーマティが世尊に問いを提起した」    8
4.「以上のことを聞いてブッダ、世間を知る人々の第一人者は」    15
5.「百八句」    18
6.「諸識の生・住・滅には二種ある」    21
7.「存在の七種の自性と、七種の第一義」    24
8.「誰であれ、因としては存在しなかった実体が果として現われて時間的存在となりそのあと消滅すると主張するものは」    25
9.「もしも以前に存在しなかった諸識が三つの偶然に集まった縁が働くことによって生ずることが仮にあるとすれば」    28
10.「ボサツ大士は有と無とを離れた自らの最終的な見地、宗、に通じているべきである」    29
11―1.「四つの理由で眼識は生ずる」    30
11―2.偈頌    32
12.「向上の聖智の三相」    35
13.「聖智による事象の吟味」    36
14.「自心が対象化される流れを如何に清めるか」    39
15―1.「次第にであって一挙にではない事例」    39
15―2.「自心対象化の流れを一挙に如来は人々において清め除く」    40
16.「法性等流ブッダ、化作され化作するブッダ、および法性ブッダ」    41
17.「声聞乗の道標として区分される特徴」    43
18.「異教者たちの言う常住と不可思議と」    44
19.「声聞たちは涅槃を推量する」    46
20.「一切の存在の自性の特徴が不生だとは、自内証聖智の領域であって、無知な凡夫の分別の二の領域の自性ではない」     46
21.「五種の現証」    47
22.「声聞乗種の現証」    47
23.「独覚乗種の現証」    48
24.「如来乗種の現証」    49
25.「未定種の人」    49
26.「特別の種、すなわち解脱を求めるものたちが求めないあり方」    50
27.「ボサツ大士は現実の三つのあり方(自性)の特徴に通じているべきです」    52
28.「個人主体が無我であること」    53
29.「客体の無我の智」    54
30.「増益と損減との悪見を打ち砕いた智者たち」    55
31.「四種の事実に反する増益」    55
32.「ボサツは多様な様相を呈している」    57
33.「一切の現象の空性、不生、不二、無自性の特徴」    58
34.「七種の空性」    58
35.「あらゆるものは自性を離れている」    60
36.「すべての現象は不二」    60
37.「意味される事柄に徹すべきで、教説の言葉に捉われてはならぬ」    61

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