我が家近くの京都ブライトンホテルでは、「不響は終わりだ!」と題し、7月は毎夜8時より、ロビーにて30分のミニコンサートが開催されている。しかも無料なのだ。
先日は時間があり、オペラ歌手中丸三千繪さんが出演される日に足を運んだ。
オペラには興味を抱きつつも、これまで全く縁の無かった私であるが、彼女の名前はもちろん存じており、「あれだけ有名な方なら……」というミーハーな思いからでかけた。
その姿を拝見した時、まずは「はぁ…世界の舞台で活躍する人のオーラとはこういうものか…」と思い、その後は歌はもちろんの事、身のこなし、ドレスやアクセサリーのセンス、少しユーモアを交えた会話の巧みな事、彼女の全てに魅了され、私の全細胞がうっとりとした幸福感で満ち満ちるような感覚であった。
本当の癒しを求めるのなら、本物の芸術に触れるのが一番だと思う。
お能が好きでたまに観にゆくのだが、お能の世界では、表情動かぬ面をつけ、極力感情を内に秘めた中で、人間の持つ生の苦しみや哀しみなど様々な感情を表現し、最後には昇華させるような感じだが(これはあくまでも私がこう思っているだけの事です)、土地や文化や人が違ってヨーロッパにゆけば、同じものを外に向かって高らかに歌いあげ昇華させるのだな…と、どちらもの素晴らしい芸術文化に改めて畏敬の念を抱くに至った。
ミニコンサートのはずが、終了したのは10時! 心広き世界のディーヴァ、まさに女神の名に相応しい彼女のすべてを2時間堪能し、来年また…というよりも是非それまでに彼女のコンサートへ…と心に誓った真夏の夜。
もしかしてもしかすると、人一人の人生を変えてしまうくらいに素晴らしい企画かも?!と思える、ブライトンホテルさんの試みにもいたく感心した夜であった。