私が大学を卒業して10年が経ちます。
周りの友人やその他色々な方に話すとびっくりされますが、卒業後ずっと、2ヶ月に1度のペースで、母校や教授宅を訪れ、途切れる事無くゼミを続けています。
それもこれもひとえに、松田高志先生のお人柄によるものと、感謝せざるを得ません。
ゼミ担当教授の松田高志先生は、京都にいらした頃、御自身に様々な迷いや問題を抱えられた時、上田閑照先生などもいらした相国寺の居士会、智勝会にも参加しておられ、禅文化研究所の哲学研究会にもいらっしゃいました。
どのような御縁か、私がこうやって禅文化研究所にて働かせていただくようになり、松田先生には現在、季刊『禅文化』にご寄稿いただいています。
ゼミでは、“人生科”と題して、「人間とは?」「教育とは?」「宗教とは?」「生きるとは?」など、おおよそ人が生きる上での様々な大問題について、先生や仲間の意見を聞き、自身の考えを発表するという時間を過ごして来ました。
三十代になり、親の事、子供の教育の事、パートナーの事、自身の仕事や生き方の事など、それぞれが違う人生を歩み始め諸問題を抱えるにあたり、学生時代よりも更にゼミの内容も深まっていっている気がします。
方向性がわからなくなった時、迷いそうな時、「ここに戻ってこれば大丈夫」という大きな“安心”がいつも与えられています。
キリスト教系の大学で、日本人に馴染み深い神道や仏教とはまた違う宗教というものに近く触れ、参禅経験もある松田先生の著書やお言葉から多くを学び、その他、先生推薦のシュタイナー教育、神谷美恵子さん、和田重正先生、ネイティブアメリカン、佐藤初女さん、サンテグシュペリ、ミヒャエルエンデなどなど、様々な本を読み過ごした学生時代とその後のゼミは、私の人生におけるぶっとい柱となっています。
就職氷河期で、大学に入った時からもう就職の事を考えなくてはならない時代になっていますが、後々の自分の糧となり、自分を支えるのは、大学生時代に好きで学んだ事だと思います。禅宗でもよく言われますが、“今、ここ”を大切に、立処をしっかりとみつめ、励んで欲しいものだなぁ…と思う今日この頃です。