まぼろし?の正倉院展と興福寺国宝

奈良国立博物館で、第58回正倉院展が開かれている(平成18年10月24日~11月12日)ので、文化の日につられて、その翌日、三連休の中日に奈良を訪ねた。
多少の混雑は想像していたのだが、甘かった。奈良国立博物館のある奈良公園ちかくの道路は大渋滞。その混雑を見越してか、空には飛行船が浮かんでいた。

空には飛行船

駐車場は満車ばかりで、まずは車を停めるだけで右往左往。
なんとか少し離れた個人経営の駐車場に停めて、歩くこと10分。
奈良国立博物館につくと、そこには、「只今の待ち時間150分」と。唖然
既に昼が近くなっていたので、このまま2時間半も並んで待たされるのはかなわない。
というわけで、遠方よりはるばる泊まりがけで来られているであろう方々に譲り、残念には思いつつ旧館の平常展だけをみることにした。
それでも、さすがに古都奈良。国宝や重文の美しい仏様が林立である。ただ、惜しいかな、いつも思うが、博物館では手を合わすということにならないのである。仏様もさぞ寂しかろう。
潔く奈良博を後にして、今度は国宝を特別公開している、となりの興福寺に参詣することにした。
今、興福寺は創建1300年を間近にして、境内の整備事業をされていて、工事中が目立つ。

工事中がめだつ興福寺境内


ここを訪れるのは、はるか昔の小学校のバス遠足以来ではなかろうか。
まずは、国宝館。沢山の仏像があるなか、私は国宝の乾漆八部衆立像の、中でも「阿修羅」の顔に目を奪われた。眉間に苦悩が見えるようななんともいわれる顔である。
その後、現在建設中のための仮の中金堂、そして、北円堂、三重の塔を拝観した。
特に、北円堂に安置される、木造の無著・世親立像(国宝)が素晴らしかった。運慶一門の作とされ、鎌倉時代の肖像彫刻の最高傑作であると言われるのにも頷ける。

内部が公開されていた三重の塔
三重の塔の内部には弁財天が祀られる。

興福寺から出て、猿沢の池へ。ここから見る五重の塔が一番美しいのかもしれない。

猿沢の池からみた五重の塔

拝観を終えて、車にもどり、若草山のドライブウェイへ向かうと、もう夕刻になっていた。美しい古都の秋の夕暮れだった。

古都奈良の美しい夕暮れ