呼吸と空


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御所から見る夕焼け

まださほど人生の荒波を超えたとも言い難い若輩者の私。
それでも今までの人生で一番とはっきり自覚できるほどに苦しかった時、あるマダムに「○○ちゃん、人は呼吸が深くできてさえいれば、たいがいの事は乗り越えられるものなのよ」と言われた。
「そういえば今の自分の呼吸は浅いかもなぁ。そもそも苦しすぎてそんなものを意識する余裕すら無い。魚が陸に打ち上げられてあっぷあっぷしているような状態だもの。本当にそんな事(深い呼吸)で乗り越えられるのだろうか」と半信半疑であった。
それでもなんとなく、自分の呼吸が浅いなと思いハッと気づいた時には深呼吸を心がけ、坐禅をしに行ってみたり、大好きな場所、御所や比叡山を眺められる鴨川沿いのベンチなどでゆっくり呼吸をしてみるよう心がけた。
そして何となく峠を超え、「“呼吸”って一体なんだろう?これはやはり何かあるな」とはっきりと気づいた頃から、様々な情報が私の元へ集まり出した。
中でも印象的だったのは、DVDで観たガイアシンフォニー・地球交響曲第2番に登場する、ジャック・マイヨールの言葉。


「大自然の大気中には、全ての生命を生かしている見えないエネルギー、プラナが満ちている。このプラナをスムーズに体内に取り入れる事に依って、最大限の生命力を発揮できる」。
「呼吸は、大宇宙の母と、その子宮の中で育まれている私達とを結ぶ、へその緒の様なものだ」。
ヨガの呼吸法こそ、このプラナを存分に取り入れて生かしきる為の方法らしく、どおりでこの日に焼けた老人を映像で観た瞬間、「ん?なんだかインドの聖者のような人だな」と思ったわけである。また、人がオギャーと生まれる時には母と繋がっていたへその緒を切る代わりに、呼吸を始める。
さらに、ふらふらっと本屋を歩いていると目に留まった本があった。
大好きな谷川俊太郎さんの『呼吸の本』。彼の呼吸の先生である加藤俊朗さんとの質疑応答がとてもシンプルながら説得力がありわかりやすい。
ついでと言っては何だが、やはりうちの本も紹介しておきたい。『坐禅のすすめ』山田無文。
坐禅会情報はこちら
何ら問題を抱えぬ人はいないと思う。「たいがいの事は乗り越えられる」とのマダムの言葉は嘘ではないなと、自身の体験からも思うようになった。
陸に打ち上げられた魚のような状態の方は、ちょっと騙されたと思って“呼吸”を意識してみてはどうだろう(保証はしませんが)。
今、「何ら問題なんてなーい!」という幸せな方も、その幸せと健康が続き、長生きする為に呼吸をみつめてみてはどうだろう。
あと、私がオススメしたいのは空を見上げる事。
刻々と代わり、二度と同じ模様を見る事の無い空。
いつも、「あぁ、なんて美しいのだろう」と、この地球と繋がっている事を自覚する時、自然と深呼吸している事に気づく。
プラナ。単に吸って吐いているだけじゃあもったいない。
やはり“呼吸”には何かあるのである。