千家十職の御釜師、大西家の大西清右衛門美術館で行われている「Withered Beauty in Tea Kettles 茶の湯釜にみる朽ちの美」展を訪れました。
日本人は殊の外、朽ちたもの、朽ちゆくものの中に無常を感じ取り、胸しめつけられながらも「だからこそ」と、そこに美を見て取る。
茶の湯の釜や風炉なども、鉄で作られているという事は、いずれは朽ち果てる運命であるが、その「侘び」や「やつれ」をまた茶の湯の世界ではなんとも言えない“美しさ”として茶人は愛でて来た。
今回のパンフレットの写真は、鉄風炉。なんともかっこいい…。
また、茶の湯の釜や風炉の中には、わざとこういった風情を醸すために最初から「やつれ」や「破れ」の風合いを出して作られたものがある。茶の湯にふれる機会の無い方にはやや驚く事ではなかろうか?
朝夕少し涼しく、過ごしやすくなって来たが、10月に入れば風炉は客寄りになり、火が客に近づく。なんとなくもの悲しく、人肌恋しい秋。そういった季を深く味わう事のできる茶道具達である。どの季節も愛しいが、11月の茶人の正月(炉開き・茶壷より出されて挽かれた新しい茶)を迎える前のこの季はまた格別である。
会 期 平成22年9月3日(金)~12月23日(木・祝)
開館時間 午前10時~午後4時30分 (入館は午後4時まで)
休 館 日 月曜日(祝日の場合は翌日) ※ただし11月22日(月)は開館
入 館 料 一般700円 大学生400円 高校生以下無料
*こちらの美術館では、特別鑑賞会や茶会、子供参加の会なども開催中。