季刊『禅文化』218号の表紙に掲載する「瀧見観音」図の撮影を行なうために、岐阜県は木曽の定勝寺(臨済宗妙心寺派)を訪問した。
私事だが、じつはこの寺の現住職とは大学時代の同級生である。ただ、お寺を訪問するのは初めてなので、楽しみにして出かけたのだった。
中央高速の中津川インターから国道19号線を木曽川沿いに北上すること約40分。19号線から少しはずれた、旧中仙道沿いに建つ定勝寺に辿り着いた。
石段の上には美しい山門が見える。山門の横にはかなりの樹齢を誇るであろう、見事な枝垂れ桜の老木がある。春に見てみたいものだ。
山内には本堂と並んで美しく大きな庫裡が建っている。失礼ながら木曽の山間にしては、あまりにも立派な伽藍なので、正直、驚きつつ庫裡に踏み行った次第。そこで旧友とともに、先の住職でその父である閑栖和尚にお出迎えいただいた。
庫裡に入った瞬間、その内部の美しさにも見入ってしまった。聞くと、山門、本堂、そして庫裡は、国の重要文化財だというではないか。木曽親豊の菩提寺として建設されたのは関ケ原の戦の直前、1598年。すでに400年以上にもなる。お寺自体は室町時代に開創され600年の歴史を誇るが、当初、木曽川沿いに建てられていたが水害で流れ、以後、この地に移ってから災害に遭わずに現在に到るという。
明日へつづく