季刊『禅文化』218号発刊


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10月25日、季刊『禅文化』(年に4回の発刊)の最新号が発刊されました。
今回も個性豊かに様々な興味深い記事が揃っております。
毎号、編集者が、「これでもないあれでもない……」と悩んだ上で漸く決まります表紙は、美術や歴史に疎くとも、とてもわかりやすく、それでいて詳しく理解できる解説がついています。毎号、楽しみにして下さる読者の方も多い事と存じます。
今回は、長野県木曽郡にある古刹、定勝寺蔵の白衣観音図です。
気品があり、妙にひきこまれる美しさで、私もひと目見た瞬間にため息をつきました。
長年連載しておりました所長による「三余居窓話」は、『七十を過ぎてわかった事』にまとめさせていただいたのを機に幕を閉じ、新たに、-ゼミナアル・禅思想の道を歩く 講読 『信心銘夜塘水』-が始まりました。入門してみませんか?
「寺庭さんのリレー・エッセイ」は、普段はなかなかお話を伺う事のない、寺庭夫人(ご住職の奥様)の“繋がり”で続けられている連載です。
お寺に嫁いで大変だった事を受け入れてこられた来し方。次世代への思い。ご住職とはまた違う立場でみつめる禅の事、宗教の事などなど。
さて、個人的には、私の大学生時代の恩師、松田高志先生の『日常的生と宗教的生 ハシディズムの言行録に学ぶ』にて、ハシディズム(ユダヤ教の一派)に残る言行録が、禅の語録などと少なからず似通った部分、後世に生きる我々に指し示してくれる部分がある事を初めて知り、大変興味深く拝読しました。ハシディズムの言行録の存在じたい、私は知りませんでした。
そして更に今回は、恩師(松田高志先生)のそのまた恩師である、上田閑照先生による智勝会(居士の参禅会)のお話が、私には殊更嬉しく。>『吾が師を語る――大津櫪堂老師と梶谷宗忍老師』
松田先生も学生時代に様々な問題を抱えられた際に智勝会に参加されており、度々梶谷宗忍老師についてはお話を伺う事もありましたが、その上の大津櫪堂老師の事、さらに『隻手の音なき声―ドイツ人女性の参禅記』(筑摩書房)の著者であるリース・グレーニングさんの参禅に関しても触れられており、櫪堂老師とグレーニングさんとのやりとりの中にある厳しさ、真剣さには、まるで自身も参禅しているかのような錯覚に陥り(厚かましくてすみません)、涙し、心打たれるものが大いにありました。
また、さらにさらに、『隻手の音なき声』の訳者でいらっしゃる、上田真而子先生による「リース・グレーニングさんのこと」と題した、上田先生とグレーニングさんとの交流についても今回は掲載させていただいております。
『禅文化』をご購読いただいております皆様には、是非記事のご感想や、今後どのような記事をご希望になるかなど、ご意見も頂戴いたしたく、宜しくお願い申し上げます。