11月3日、文化の日。毎年恒例の正倉院展を観に奈良へでかけました。
が、遷都1300年のイベントなども盛りだくさんなせいか、いつにも増してものすごい人人人!朝9時頃に着いたのですが、既に150分待ちでした。
待ってでも観る甲斐のある素晴らしい宝物の展観である事は重々承知していますが、今回は執着を捨て、前々から気になっていた高畑辺りを散策する事に。
地図もガイドブックも無いまま向かいましたが、執着していた一つのモノ・コトを手放せば、新たな出逢いや発見があるもので…。
奈良市高畑、とても素敵な所です。何回かにわたってご紹介致します。
今回は志賀直哉旧居です。
秋の澄んだ空気の中、閑静な住宅街の、ハゼもほんのりと色付き始めた並木道を進んでゆくと、看板が出てきます。
この門構えを拝見するに、趣きある数寄屋建築として名高い住居はいかばかりかと想像をかきたてられます。
このような世界が広がっていました。
どこにカメラのレンズを向けても絵になります。柱1本から、窓、電灯の笠、戸、天上、随処に志賀直哉の哲学が盛り込まれているようで……。
運良く館長さん(おそらく)がいらっしゃり、お話を伺えました。
部屋と部屋の境目をみれば志賀直哉がわかるとの事。
家族を愛するが、愛しすぎないようにし、この家を建てたのだとか。妻、子供達、女中さん、それぞれの立場を尊重しながら建てた家。白樺派の人権を尊重する立場までをも具現化した家。
ちなみに、奥様の部屋から見えるお庭の景色は、それはもう素晴らしいものでしたよ。
それにしましても、もうこれほどの数寄屋建築は、現代では建てる事ができないのではないでしょうか。木材だけでも集めるのに骨を折りそうです。
是非皆様も白樺派の文学、志賀直哉の哲学、昭和の名建築に触れる為、こちらを訪れてみて下さい。
自身に、様々な学びが訪れることでしょう。