奈良、高畑界隈の日記が続きますが…。
私が訪れました日は、志賀直哉旧居・新薬師寺・奈良市写真美術館・白豪寺の共通チケットのようなものが発売されていましたので、この-奈良市写真美術館-は、存在すら知らなかったのですが、ついでと言ってはなんですが訪れたのでした。
閑静な住宅街、田畑も残り、すぐ近くに新薬師寺という環境の中、このような素敵な美術館があったとは……。
まず建物が面白いのです。周りの環境を気づかい、建物は1階建て?かと思えば、地下に展示室があるのです。後で調べましたら黒川紀章氏設計との事。
この日の展示は、【平城遷都1300年記念「入江泰吉傑作選―大和路― 後期】でした。
まほろばの里、大和への憧憬の念がさらに増すような写真ばかり。そしてその写真一枚一枚に、入江氏の文章がパネル展示されているのですが、またその文章が良いのです…。奈良の歩き方についてのレクチャーを受けているようでした。
展示室へと階段を降りてゆく正面の壁に、なにやらとてもかわいらしいものが展示されていてひきつけられました…。
私も大好きな画家、杉本健吉さんの陶壁でした。入江氏と杉本氏は親友だったのだとか。
陶壁『華精』 作 杉本健吉
陶壁『華精』は、入江泰吉さんの親友、画家・杉本健吉さんが花をイメージして常滑焼で制作したものです。
かつて入江さんは、楚々とした野の花が好きで、「美の究極は花である」と書き残し、杉本さんも『華精』制作にあたり、「花はよくよく見れば、花の中にほとけがごじゃる」との言葉を添えています。
『華精』は杉本さんの胸中の花が、いろいろな形でいっせいに花開き、花の中にはほとけが、やさしく微笑みかけているのです。
との事。
それぞれに素敵な常滑焼の華精なのでした。