『小説 ブッダ いにしえの道、白い雲』 ティク・ナット・ハン著


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4月の来日を楽しみにしながら、『小説 ブッダ いにしえの道、白い雲』(ティク・ナット・ハン著 池田久代訳/春秋社)を読んでいます。
読み終えてからの感想もまたお届けできたらと思っていますが、まず、インドのカースト制度、バラモン・クシャトリア・バイシャ・シュードラにも入らないとされる、更に最下層の不可触民であったスヴァスティという少年が、ブッダに出逢い、出家するまでに至った機縁からこの物語は始まります。
修行僧となったスヴァスティの目を通して語られるブッダの来し方。今までに私が読んだブッダの生涯を描いた小説とはまた視点が違い、新鮮でとても面白いものです。
また、ベトナム戦争によって、自らも我々の想像を絶する困難を乗り越え、修行され、世界各国で教えを説かれるT.N.ハン師だからこそ描ける、修行や悟りについての事細かな描写、経典からの引用、詳しい仏教思想など、単なるブッダの生涯を描いた読み物的小説とはまた違う奥深さがあります。
是非皆様にもおすすめしたい一冊です。



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ここからは少しだけ脱線して、インドについてです。
私の大学のゼミの教授が、卒業時(約11年前)に、「何年か先には、インドが世界をリードしているようになるのでは…」と仰っていました。
もちろん、経済においても、このところのインドの発展には目を見張るものがありますが、そうではなく、何千年も前から、こんなにも人間の心の事を深く追求、探求し、ものごとの真理を見つめてきた国が他にあるでしょうか。私事ですが、ヨガを始めた事により、インドの智慧は、世界の宝だと思うようになりました。
人々の心の荒廃が叫ばれるようになったこのご時世、解決の糸口は、日本の神道や仏教の教え、伝統文化の大切さ、そしてインドの智慧にありと真剣に思っています。
様々な宗教、遺跡、城、広大な大地、スパイス料理、アーユルヴェーダ、ヨガ、伝統的な音楽、布やその他雑貨の素敵な事、一筋縄ではいかないインドの人達。
何度旅行しても飽きる事の無い地。
インドは私にとって、色々な意味において常に憧れの魅惑的な国です。

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