仏教ではお釈迦様にまつわる3つの植物を三聖樹として大切にされています。
お釈迦様がご誕生になった所に咲いていた無憂樹(むゆうじゅ)、お釈迦様がお悟りを開かれた所にあった菩提樹(ぼだいじゅ)、そして、お釈迦様が涅槃の時に香り高く咲いたといわれる沙羅樹(さらじゅ)です。
今回は、その中で沙羅樹(サラノキ)をご紹介します。
「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす……」の平家物語冒頭のことばでも出てくるので知られている方も多いことでしょう。
自坊にも沙羅樹を植えていますが、じつは日本で沙羅樹とされている樹木は、ツバキ科のナツツバキや、エゴノキ科のハクウンボクという木を沙羅樹に見立てていることがほとんどで、本来のフタバガキ科の沙羅樹とは異なるものです。
日本では、滋賀県草津市の琵琶湖岸にある「草津市立水生植物公園みずの森」にある1本のサラノキだけが花を咲かせているそうです。
この木の樹高は約6m、樹齢は約17~18年と推定されています。2003年4月に日本で初めて開花したそうです。冬に半落葉となり、2月半ば過ぎに新葉が展開してその先に花芽が出で、房状に蕾がつき、花は下垂して咲きます。2.5cmほどの小さな白黄色の星型の花はジャスミンティーのような芳香があり、1枚づつ舞い落ちます。花後には羽根突きの羽根に似た大きな翼のある種子がたくさんなります。花の見頃は3月中旬~4月中旬とのこと。
この「みずの森」にはサラノキだけではなく、無憂樹や菩提樹もあり、釈迦三聖樹をすべて見ることができます。さらに、美しい睡蓮もたくさん咲き、眼を和ませてくれることだと思いますよ。一度訪ねてみては如何でしょうか。