去る十月のある日、晴天の秋空のもと、丹波特産の黒大豆枝豆(黒豆)の収穫に精を出した。
自坊の畑に植えられた黒豆を収穫するのだ。
京都の某僧堂から、五人の雲水さんに助っ人に来てもらっている。
今年、引き手で来た雲水さんは、僧堂歴六年目で、彼が言うには、
「私が新到の時に、初めてここへ来ました」と。
よって、この「雲水黒豆大会」も、今年で六年目である。
まず、本堂で、般若心経を唱え、畑に下りて、いきなり収穫にとりかかる。
最初の作業は、枝から「さや」だけをむしり取る。本当は、枝にさやを残して、葉っぱだけを落とすのだが、これは、十時の「おやつ」用で、一人の雲水さんが、すぐに台所にもって行き、塩ゆでにする。
それを、また、畑に持って行き、すぐに食べる。小生は、ビールを取りに走る。取りたて、ゆでたての黒豆は、最高にうまい、ビールもうまい。
丹波の黒豆(くろまめ)はうまいが、小生が仕事にしている漢文語録の黒豆(こくず)は、あまりうまいものではない。
やっと、『五灯会元』の全文訓読も脱稿し、黒豆(こくず)から解放されたと思ったら、あのうまい黒豆(くろまめ)もシーズンオフとなってしまった。また、来年の「雲水黒豆大会」を期待しよう。