東北関東大震災は、なお予断の許さない状況が続いております。阪神大震災の際の支援活動ついて、『禅文化』誌にお書きくださっている藤井隆英師から禅文化研究所宛に以下のメールが参りましたので、全文を掲載させていただきます。藤井師は曹洞宗の僧侶で、阪神大震災の際、曹洞宗国際ボランティア会の一員として支援活動を始められ、今もなお、震災後の神戸の人々を支え続けられているお一人です。
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こちら(八王子)は、それほどの揺れでなく、被害自体は殆どありませんが、長野や昨日静岡でも大きな地震があったように、余震を含め、揺れへの恐怖。さらに原子力発電所への不安が人々の大きなストレスとなっています。さらに物流不安からガソリンや食品の買占めで、戦争が始まったかのようです。
おとといよりお寺でも14:46分に祈りと慰霊の梵鐘を鳴らし始めました(実は阪神大震災は5:46で、同じ46分に発生したことに寒気がしました)。今こそ自分自身が祈りによる安心を作り、提供していく責任を持つ時だと実感しています。
混沌から、原子力発電所の問題など、日常隠れていた問題性もむき出しに露出してきております。不安でもありますが、希望を持ち、見守り、祈り続けなければと心を新たにしております。
私自身の気持ちを平静に戻すために探っていたところ、私が神戸で阪神大震災後に行っていた識字学級の参加者(在日一世。当時78才)の方が、夜間中学校時代に震災について書いた作文を思いだしました。
この方は目が悪く、日本語の文字も不十分な中で、様々なことを想い、そして伝えるために作文を書かれていました。全文ではなく最後の章のみですが、被災された方、被災地や被災者に想いを持つ方全てに伝わればと願います。
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自然は正直です。地がひっくりかえるようにゆれたのに、しっかりと根をはって、つかんで、がんばって、三月に花のつぼみをふくらませ、桜は満開に咲いて、人々の心を喜ばしてくれました。
植木も新しい芽を出し、つやつやして、今は、あざやかな青い葉がとてもうつくしいです。草花も、私たちもがんばっていますよ、といわんばかりに地震でたおれた間から青い葉を出し、かわいい花が咲いて、がんばっているよ、と人々に呼びかけているようです。
大震災から四ヶ月、人々は復旧に一生懸命です。が、まだまだ家がたおれたままあるし、ひなん所では、四万人以上の人がこんな生活でたいへんです。一日も早く、適当な希望に応じて、仮設や、住宅を与えて、助けださな、これから暑くなるし、いろいろえいせいにわるいことが、心配になります。早く住宅がみんなに当たって、落ち着いた生活になりますことを願います。
地震も強いが、人間も強い。神戸を元通りにと、人々はがんばっています。
1995.5.15 金 音田(キム ウンジュン)
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