能の身体の使い方


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既に一ヶ月前のお話ですが、兵庫県立芸術文化センターの神戸女学院小ホールにて開催された『〝大いなる辺境〟の芸能「能の音楽」』を鑑賞に行ってきました。
能・狂言などは京都でいくらでも観る機会はあるのですが、内田樹氏(神戸女学院大学教授)、成恵郷氏(ソウル女子大学教授)、河内厚郎氏(兵庫県立芸術文化センター特別参与)による鼎談がある事が魅力的で足を運んでみました。
個人的に、能については、人間の持つ、どうしようもない様々な念が最後には昇華されるのが好きで観ているつもりだったのが、内田教授のお話によると、「ぜんぜん成仏してないんですよね。そのしていない間(ま)、余韻を残して舞台から去っていける役者こそ素晴らしい」というような事を言われてしまい、「それならば私は今まで何を観ていたのか?!」と、新たな課題をいただいた気分でした。
また、内田教授は、合気道家としても有名ですが、日本人は現代においては昔とは全く違う身体の使い方をしているわけで、武術の源流を考えた時、その時代の日本人の身体の使い方を学ぶ事が、合気道をやる上においても様々な学びになるのでは…と、お能を始められたのだとか。そのお話にもいたく感心しました。
安心したのは、高名な先生方でもお能観賞中には必ず“寝てしまう”という事。あの雰囲気の中で鼓のリズムが心地よく、実は申し訳ないと思いながらも、私もよく寝てしまうのです……。
皆さんも寝ても良いのです(良くはないでしょうか……)。安心して是非日本の伝統芸能を観る機会を作ってみて下さい。