今日は二十四節季の9番目「芒種」。新暦で6月6日頃。旧暦で考えると1ヶ月ほど早い時期のことになり、実際の日本の今の時期とはちょっと違うことになりますが、二十四節季は中国ではじまり日本にも長い間に染み込んできた文化ですから、今後もそのままの日付で見て紹介していくことにいたしますね。
芒種の芒(のぎ)というのはススキにあてた漢字ですが、ススキや稲や麦のように穂先が尖ったイネ科の植物のことで、これらの種を蒔くころを芒種というのです。
『唐詩選 三體詩 総合索引』(禅文化研究所刊。絶版品切れになっています)の索引で「芒種」を検索してみますと、こんな三体詩にこんな漢詩が見つかりました。
竇常という人が作った「北固晩眺(北固の晩眺)」という詩です。
水国芒種後、梅天風雨涼。
露蠶開晩簇、江燕語危檣。
山址北來固、潮頭西去長。
年年此登眺、人事幾銷亡。
冒頭、「水国、芒種の後、梅天、風雨涼し」とあります。「水辺の国は芒種を過ぎたというのに、梅実る時節は雨風も涼しい」いう意味のようです。琵琶湖のある滋賀県に住まう私としては、なんとなく想像できる情況ですが、如何でしょう。
前回の二十四節季は「小満」でした。その時に掲載した麦が、もう冒頭の写真のように茶色く色付き始めています。
それはさておき、中国には「小満不満、芒種不管(小満満たざれば、芒種管せず」という諺があるようです。つまり、「小満に水をしっかりためておかなければ、芒種にはあぜが枯れてしまい種蒔きができないぞ」ということのようです。
また、「芒種」は中国語で発音するとmang zhナ熟g で、「忙種」と全く同じ発音です。中国では発音からも急いで種蒔きをしなくてはという気分にさせられるようですね。
ほかにも「芒種忙忙栽(芒種には大急ぎで種をまけ)」という農業の諺もあるようです。
なんだかえらくバタバタした気分にさせてしまいました。
さて、早々と梅雨入りした今年。皆さんの回りでも、こんな花が美しく咲きはじめたのでは? 自坊付近では、蛍も舞い始めました。