『あしかび全集』和田重正 -職員オススメ本-


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皆さん、おはようございます(御挨拶をしたくなりました)。
いつもご覧いただき、誠に有難うございます。
さて、こちらでも何度かお話させていただいていますが、弊所の季刊『禅文化』にも何度か寄稿いただきました松田高志先生(私の卒業大学のゼミ教授です)には、大学を卒業してからも2ヶ月に1度、大学でゼミを続けていただいています。
さらに、ゼミ生だけではもったいない!と、京都の友人仲間にもその和を広げたいという思いから、先生におこしいただき、京都でもゼミを開催しています。ゼミと言っても、先生のご著書や、先生がコピーしてきてくださるプリントを読んで、皆で意見を出し合いお話をする会です。
そんなゼミで先日、松田先生が人生において大きな影響を受けた和田重正先生の『あしかび全集』第五巻「あとがき」の文章を拝読しました。

 実際、自己中心的な人生観や近視眼的な価値観に立って、幸せを求めて奮励努力し、一生を徒費する人が何と多いことか。人生観の基盤に誤りがあれば、もがけばもがくほど、努力すればするほどその人は不幸に陥って行くことは、われわれが目のあたりに、無数の実例を見ている通りであります。まことに恐ろしいことです。
 私の人生観の骨子は、本文中でご覧の通り、「ケチな根性」という見せかけの自分に騙されないで、真心という全宇宙的基盤から催されて来る力に素直に従って生きるのが一番安心で、一番賢く、一番幸せなのだ、ということです。
 それから、もう一つ重要なことがあります。すべての“ものごと”を固定させようとしたり、固定したものと看做(みな)したりしないことです。現在の学校教育とそれに支配される家庭での教育はほとんど、子どもの生活と思考を枠にはめ、固定させることを仕事としていますが、それは決して若者を幸せにする道ではないと私は信じています。


まるで、現在の私達に対するメッセージのような気がして仕方なく、いつ出版されたものかを調べてみると、1977年、私が生まれた年でした。全集として出版されたのがこの年ですから、もっと前から警鐘を鳴らしておられたのだろうと思います。
33年がたちますが、日本は良い方向に変わったのか…と思うと、和田先生に顔を向けられないような、なんとも言えない気持ちになります。
松田先生も仰っておられましたが、今回の震災では、一人一人が、その生き方、在り方を問われている…と。事の大きさ、自分の力の無さに呆然とするのも致し方ないと思いますが、自分が一人でいきなり大きな事などできるわけなどない……くらいの諦めも肝心で、立ち止まっていても致し方ないと思い、日々のくらしを見つめ直す事を、私も始めてみています。
人生には、あらがえない波が押し寄せる事もありますが、どう生きていくかは全て、自分の選択によると思っていますが、その選択の糧となるような事を、ゼミでは学ばせてもらっています。
松田先生は、「これが正しい、あれが悪い、こうすべき、ああすべき」という断定的な事は一切仰いませんが、お話の中から私はものごとの真理を学ばせていただいているような気持ちでいます。
皆で意見を出し合い、話し合う小さな会が、全国に拡がれば…という夢を持っています。
私事(わりにそんな記事も多いのですが……)で、失礼を致しました。
東大法学部出身らしからぬ(というと語弊があるかもしれませんが世間のイメージです)和田重正先生の生き方。まだ拝読していない著書もありますが、自分らしい生き方というのを考え、実践してゆく上で、必要と思える彼の教えをこれから学んでいきたいと思っています。ちなみに先生は盤珪禅師がお好きだったと松田先生にお聞きしました。
私が和田先生のお言葉の中で、一番好きでいつも心にあるのが、「いのちの世界では たのしみの中にでも 苦しみの中にでも 悦びがある」です。
和田重正先生の本は、こちらで購入可能です。オススメします。