金剛家 能面・能装束展観


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毎年楽しみにしている金剛能楽堂での虫干。
職人の技がちりばめられた溜め息をつくような美しい装束に加えて、おそらくこれほど一度に面を拝見できる事は無いだろう……というほどにたくさんの面がずらりと並びます。
そして、11時と15時に宗家御自ら解説してくださるのです。
宗家御自身も楽しそうにお話下さるので、こちらまでとても楽しくお勉強させていただけました。
それにしましても、夜叉作の般若の面は念がこもっているようで、まさに生きているかのごとくでゾクっとしました。
“般若の面”というと、いわゆる般若坊作であることから般若と言われるようになったという説をよく聞きますが、どうやら違うとのお話。仏教でいうところの“般若”ではないかという事でした。般若とはさとりの智慧。
怒り、苦しみ、悲しみ、嫉妬の表情を浮かべた般若の面も最期には悟りに達する故ではないかとお家元が仰っていました。感慨深いものです。
男性の皆さんはどうかわかりませんが、女性として私は般若の面がものすごくわかる気がするのです。その先に“般若”、つまりはさとりの智慧があるというのは、救いです。
年に一度の虫干。来年もまたこちらにてお知らせできればと思います。