今日は、二十四節気の十五番目「白露」です。
『暦便覧』によると、「陰気ようやく重なりて露こごりて白色となれば也」とあります。ようやく暑気がさって涼しくなり、朝露ができて白くにごるころということでしょう。
田圃の上を飛び回っていたツバメたちも南の国に帰っていきます。
ススキの穂も出て虫が鳴き始め、秋を感じさせる頃合いです。
夏と違って風流になってくるためか、研究所のデータベースで調べてみると、夏の二十四節気と比べると「白露」を含む出典が大変多くなります。特に唐詩に沢山出てきました。
例えば王昌齡の七言絶句「重別李評事(重ねて李評事に別る)」という詩があります。
莫道秋江離別難 道(い)う莫れ 秋江 離別難しと
舟船明日是長安 舟船(しゅうせん)明日(みょうにち)是れ長安
呉姫緩舞留君酔 呉姫(ごき)緩舞(かんぶ)して君を留(とど)めて酔わしむ
随意青楓白露寒 随意なり青楓白露(せいふうはくろ)の寒(かん)
秋の水辺での別れがつらいなどと言ってはいけない。
君の船は明日になれば長安にとどいている。
呉の美妓が舞って君をひきとめて別離の酒に酔わせよう。
青き楓の葉についた白露の寒気など、勝手にさせておけばよい。
勝手にさせておけばよいといいつつも、そこに哀愁をそそる秋の気配を感じ、別れの辛さが余計に際立っているように思えますね。
秋は心に清い風が吹くような気がします。どうか、涼やかによき日々をお過ごしください。