神仏います近江(滋賀県立近代美術館)


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先般、ご案内したとおり、展覧会「神仏います近江」が、滋賀県の3つの美術館で合同開催されていますが(大津市歴史博物館は10/8~)、その中の一つ、滋賀県立近代美術館に行ってきました。
ここでの展観は「祈りの国、近江の仏像-古代から中世へ-」ということで、仏像ばかりが展示されています。
開催2日目ということなので、混んでいるかもと思ったのですが、午後3時ごろという時間も関係してか、比較的すいていて、滋賀に残る古い仏像にゆっくりと対面することができました。
主に平安時代~室町時代に作られた木像が多かったのですが、そもそも平安時代には鋳造された神仏像はほとんどないとのことです。
なかでも私は、湖南市の善水寺(天台宗)蔵の「木像帝釈天立像」(重要文化財)が目にとまりました。ぷっくりとしたふくよかな輪郭で平安時代の一木彫像です。
やはり出品の多くは天台宗寺院のものでしたが、2点だけ臨済宗妙心寺派の正福寺(湖南市)のから出陳されていました。本尊十一面観音立像と金剛力士像ですが、いずれも平安時代の作。つまり禅宗が中国より伝わる前のものです。このようなことから、十一世紀ごろ、現在正福寺のあるこの地に本格的な伽藍を備えた大寺院が存在していたことを裏付けているようで、これからの研究が待たれるようです。
今回のような企画展は、まず二度とお目にかかれないであろうと思い、大部な図録『神仏います近江』(\2400)を購入してきました。じっくり見せてもらうとしましょう。


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