伊賀 土樂窯訪問


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以前こちらでもご紹介しましたが、先日、友人たちと土樂窯を訪ね、福森雅武先生とお話させていただき、道歩さんに仕事場などを案内してもらいました。
いろりの間にお邪魔すると、私の目を釘付けにするものばかりなのですが、特に先生がいつも生けられる花には、心うち震えます。
「100年は経っているんじゃない?」と仰る、素晴らしい風合いの山ぶどうのつるの籠に、曼珠沙華や猫じゃらし、その他名前は知らずともよく見るススキのような草、そして何やら蔓が生けられています……。「これ、なんだっただろう…」と思ってしばし見入っていると、「さつまいもの蔓だよ」と。
私の頭の中に、母方の里、出雲にて幼い頃にさつまいも掘りをした記憶がぶわっと蘇り、感動が……。
皆さん、芋の蔓を生けようと思われますか?「だって芋の蔓だもん。野菜だよ」と思いませんか?他にも、そのあたりに生えている草花を見る時に、「それって雑草でしょ」と、花屋さんに並ぶ草花と境目を作って見てはいませんか?
私は大いに作っていると思います。もう嫌だというくらいに、境界線、自分のものさしだらけです。その境目やものさしを無くしたいと、茶道や禅やヨガなど、色々かじってはいるのですが、これがなかなか手強いものです。
「ふと、美しいな、綺麗だな、と思えば生ければいい。ただそれだけです」。
土樂さんへ伺うと、いつでも、生命の輝きと、迎えて下さる福森家の人々の温かさに触れられ、さまざまな事を学ばせてもらえます。いつもいつも頭で考え、結局よくわからなくなりがんじがらめにあっている自分が、解き放たれる心持ちがします。
大学で、教育哲学・生涯教育などを専攻していた事もあり、ふと、先生に「今の小学校や子どもたちの教育に関して、アドバイスはありますか?」とお尋ねしましたら、「農業をやるのが一番良いんじゃない?サイクルというもの、生命の循環というものを知る事になるからね」と。
教育に関しての本を読んだり勉強したりもしますが、どんなに多くの言葉で語られたものよりも、先生の一言に全ての答えがあるような気がしました。


いろりの間で先生のお話を伺い、美味しいお菓子とお抹茶をいただき、既に心満たされていましたが、まだまだ続きます。


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道歩さんに仕事場を案内していただきます。一つの作業に打ち込んでおられるお弟子さん達の姿、そして道歩さんがろくろで土鍋をひく所を拝見させていただけました。
道歩さんのアシストにより、まるで土が生き物のような動きを見せます……。もう、土が勝手に動いているのか、道歩さんが土を扱っているのか、よくわからないという感じです。
自然を相手に、自分自身と向き合って物を作っている人には、何をしても叶わないな……といつも思います。
大人四人で、遠足さながらに出かけた休日でしたが、帰りには皆の感動が車内に広がって、不思議な雰囲気に満たされていました。大人になっても、やはりセンスオブワンダーを磨くような、心豊かになる体験は絶対に必要!と、強く感じた、感謝感謝の一日なのでした。