ダライ・ラマ法王の通訳者 -マリア・リンチェン女史-


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ブータンのチベット僧院にて

どれだけ引っ張るのですか?という感じですが、お付き合い下さいませ。
またまた先日のダライラマ法王の講演についてです。
大阪、高野山の講演で、私が非常に感銘を受けた事の一つに、“同時通訳の方の通訳の素晴らしさ”があります。
私が約十年ほど前に、京都の精華大学にて初めて猊下の講演を拝聴した時には、やさしい英語での、主に学生に向けたお話であった為、仏教の専門用語が出てきたり、哲学的な見解が出てきたり…といったお話はほぼ無かったように記憶していまして、特にその時の通訳者の方が誰であったか……などは気になりませんでした。
また、何冊かダライ・ラマ猊下の書籍を読んではいますが、その際にも、書籍である為に、特に翻訳者の方について気にするという事はありませんでした。
ですが今回、大阪での講演は、龍樹菩薩(ナーガルジュナ)の『中論』から“空”の理論についてまで詳しく解説がなされ、通訳者の方が、非常にわかりやすく即座に的確に日本語に訳されていました。
法王猊下の1つのお話もなかなかに長く専門的で、これは、チベット語や英語を単に日本語に同時通訳できる……というだけでこなせるような内容ではなく、仏教・ことにチベット仏教の深い理解と知識が必要とされる内容でした。
いったいどのような方なのだろう……と思っていましたが、先日家でダライ・ラマ法王の『心の平和』(サンマーク出版)を再読していた際に、もしやと訳者の方のプロフィールを見て、「この方に違いない」と思いました。


-マリア・リンチェン-はチベット名で、日本名を鴨居真理さん。本による略歴によると、、、
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高知県生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。一級建築士。大学卒業後インド各地を旅し、1985年よりダラムサラ在住。チベット亡命政府の依頼によりチベットの伝統文化継承の拠点となるノルブリンカ・インスティテュートの設計・建築を担当し、同時にゲシェ・ソナム・リンチェン師に師事して仏教哲学を学ぶ。ダライ・ラマ法王をはじめとする高僧の講義の通訳を務め、2000年より法王来日時の通訳も担当する。訳書に『ダライ・ラマ 智慧と慈悲』、『ダライ・ラマ〈心〉の修行』『ダライ・ラマ 慈悲の力』(以上春秋社)がある。
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さらに、こちらに、詳しく彼女の事が掲載されています(リンク、ご許可いただきありがとうございました)。
こんな生き方をしていらっしゃる人がいらした事を、何故今まで知らなかったのか…。皆さんは、どういった女性を想像されますか?
私の印象は、非常にしなやかである……というのが一番に来ます。もちろん冷静で上品で賢明で、挙げればきりがないのですが、偉そぶった所が全く無く、あたたかなオーラ溢れる人といった感じでした。
ダライラマ猊下のお話を、日本語でわかりやすく聞かせていただけるのは彼女のおかげ……と、今回心より感謝しています。
密やかに、でも、熱い思いで、彼女が研究所の季刊誌に寄稿してくださらないだろうか……と思っている次第です。