徳島のうだつの町並みは有名で、藍商で栄えた美しい商家が立ち並ぶ様は皆さんもよく御存知かもしれませんが、愛媛の内子については御存知の方も少ないのではないでしょうか。
私も今回たまたま訪れる事となった町ですが、日本がバブルに浮かれている頃から、町並みを保存すべく頑張って来られた町の方々のその結果が、この町には随処に伺えます。
特に保存地区として、木蝋(ハゼの実から融点の高い脂肪を圧搾するなどして抽出した蝋)で栄えた商家が連なる町並みは、殊の外美しいものでした。写真は、木蝋生産で財をなした豪商、芳我(はが)家の家で、本家である事から本芳我家と呼ばれています。漆喰を使ったこて絵や、懸魚(げぎょ)の意匠がそれは立派でした。
内部が公開されている上芳我邸(本芳我の分家)。木蝋の生産において独自の方法を確立した事と、パリ万博にも出展したらしく、海外への輸出で非常に栄えた家。
本芳我邸のなまこ壁が六角形なのに対し、こちらは四角形。本家への礼をつくす形となっています。
この時代だからこその、すみずみまで贅を凝らした普請。使っている材木も、現在ではおそらくなかなか手に入らないような物ばかりです。ベンガラは、見た目の美しさと防虫効果を兼ねて。
町並みをみて歩くだけでも楽しいところですが、なぜこのような町並みができあがったのか、この町を栄えさせたのは何であったのか、上芳我邸にある木蝋資料館なども見学し、勉強になる一日でした。つづく。