絵解き涅槃図


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来たる2月15日は、各地のお寺にて、お釈迦様が涅槃に入られた日を記念して行なわれる涅槃会の日です(旧暦により3月15日に行なわれるお寺もあります)。
涅槃会には、本堂に涅槃図という大きな軸がかけられます。涅槃に入られ、北枕で右脇を下にして安らかにおやすみになるお釈迦様の周りを、菩薩や羅漢、そして動物など、お釈迦様から教えをさずかったものたちが沢山集まって、涅槃を悲しんでいる絵が、この「涅槃図」というものです。
ただ私自身、そこに描かれているどの人が誰かといったことを、ほとんど知らずにおりました。
そんな折、先般、私は「涅槃図絵解き」というものを拝聴してきました。これは日本三大長谷寺の一つ、長野長谷寺の寺庭夫人・岡澤恭子さんが、真言宗智山派総本山の智積院にて、智積院専修学院の学院生にむけてされた講座でしたが、縁があって、一緒に拝聴させていただくことができました。
今のようにテレビや映画がない時代には、「絵解き師」という人が全国を回って、こういった涅槃図だとか地獄絵などを絵解きして歩いていたとのことで、今はそういった人たちがほぼいなくなってしまっているとのことでした。岡澤さんは、少しでも絵解きができる人が増えてくれればという思いと、自ら絵解きをして多くの人に、その絵に対して、あるいは絵に描かれている人のことを好きになるようにと思って活動されているとのことでした(交渉すれば、各地に絵解きにお越し頂けるようです。詳しくお知りになりたい場合は、禅文化研究所:西村までお尋ねください)。
そしてもう一つ、先頃、禅文化研究所はこの涅槃図をデジタル画像にして、妙心寺派教化センターと花園大学国際禅学科との三者共同事業にて、そこに描かれている人や動物、器物を解説し、そしてそれに関しての妙心寺派布教師による法話をリンクした、「WEB版 絵解き涅槃図」を構築し公開いたしました。
その場にいるだけでまるで涅槃のその場に居合わせるような気持ちにさえなってしまう絵解き師による絵解きには遙かに及びませんが、少しでも涅槃図のことがわかっていただければと思います。どうぞご利用ください。