季刊『禅文化』224号発刊


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★今号の「吾が師を語る」は、大本山妙心寺派管長の河野太通老師が、師匠の山田無文老師についてお書きくださいました。
初めて無文老師の姿を眼にされた太通老師は、
「新学長の挨拶ということで、一人の僧が壇上に上がってきました。ひょろひょろの痩身で、雲水用の紺の麻衣を着けた雲水の古手といった風体で、私は代理の僧が来たのだなと思いました。しかし演卓に着くまでの歩く姿を見て、いやこれは本物だと思い直しました。真摯な威厳を感じたのです。私はそれまで、このような僧に接したことがなかった」
と、二十歳のころの驚きを率直に記され、隠侍時代のエピソードも豊富に語られています。
★東京大学史料編纂所の山家浩樹教授が、当研究所発行の『訓読 元亨釈書』(藤田琢司編著)をご紹介くださいました。
本書の特徴を懇切かつ的確に分析し、
「以上のように、本書は、日本仏教史に興味あるものにとって、初心者から研究者まで、それぞれに利便のある書となっている。本書によって『元亨釈書』がさらに広く親しまれ、『元亨釈書』自体の研究も、ひいては日本仏教史の研究も進展することを願ってやまない」
と締めくくられています。
★臨床僧の会・サーラについて、牽引的な活動をしておられる佐野泰典師が、会の具体的な活動報告をしてくださいました。
河野太通老師の会下である佐野師は、「僧侶の本分を尽くすために良い機会なので志あるものは、共に学んでいこう」という太通老師の呼びかけに答える形で参加を決意、寺務の合間を縫って夜間講座に通い、ホームヘルパー二級の資格も取られました。
★画家の伊藤紫虹氏が、長年師事された関牧翁老師の思い出をお書きくださいました。牧翁老師が紫虹氏から絵の手ほどきを受けられたお話などもあり、興味の尽きない内容です。
【もくじ】
吾が師を語る――山田無文老師/河野太通
『訓読 元亨釈書』 紹介/山家浩樹
禅宗語録入門読本 百丈野狐 (上) /小川隆
ゼミナアル・禅思想の道を歩く 講読 『信心銘夜塘水』(七)/西村惠信
南宋・金の衰亡と禅 (下之下) 要説・中国禅思想史33/伊吹敦
長岡禅塾物語 (三) 夢中問答 (前篇)/北野大雲
善財童子の求道ものがたり (二十五)
―生死の潮流を乗り越え、正法の海洋へと導く航海師ヴァイラ/小林圓照
禅僧の死に様 (七) 死にともない―仙厓義梵/藤田琢司
南禅寺南禅院と天龍寺の庭園/町田香
言葉を超えて/平塚景堂
臨床僧の会・サーラ/佐野泰典
碧巌録提唱(十七) 第三十九則 雲門花薬欄/山田無文
ひとくち法話 察してあげること/横田南嶺
関牧翁老師/伊藤紫虹
グラビア 丈山文庫蔵 禅林墨蹟 東嶺と大休
寺庭さんのリレー・エッセイ―矢坂ナヲ子
技を訪う Ajee バングラデシュの手仕事/川辺紀子
和尚さんの身体講座 (三十四) 安楽坐禅法入門(四)/樺島勝徳
あはれ幾春の花散りにけり―斎藤史の歳月の歌/佐伯裕子
表紙解説/藤元裕二
いっぷく拝見
編集後記〈禅文化漫筆〉
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カット・左野典子
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