研究所には一般の方から様々な問い合わせが寄せられる。
その多くは禅語の出典などに関する学術的なもの、
あるいは坐禅ができる寺院を紹介してほしいというものである。
ときおり禅僧になりたいという相談もある。禅僧といってもそう簡単になれるものではなく、臨済宗では先ず派に属する寺院の徒弟となることから始まり、専門道場での一定期間の修行が必要となってくる。
先日もAさんという方から出家を希望する電話がかかってきた。
聞けば先日放映された西村惠信所長が出演した、NHK教育テレビ「心の時代」を見てこちらに掛けてきたらしく、リストラに遭って以来、自分自身を見つめ直す機会を探しているとのこと。
修行には確固たる道心が必要で、こうした理由だけでは、修行をしても長続きしないですよと伝えたが、それでも禅僧になりたいという。
少しの期間でも専門道場で修行体験ができれば適性がわかるのだが、一般人に門戸を広げている道場はない。そんな中、盤珪禅師が住した姫路の龍門寺が、今秋より一般の禅修行希望者の受け入れを行なうことを知った。
従来の僧堂の規矩に準じ、本格的な修行を志す者から短期間の修行体験を希望する人まで広く門戸を開放するという。
わが宗門は後継者が不足しており、その養成が急がれている。こうした道場から本格的な禅僧が生まれれば、宗門の活性化にも繋がり喜ばしいことだ。
Aさんにも早速この情報を伝えておいた。すぐ龍門寺に問い合わせをしたようだが、今のところ熟考中らしい。さて、この秋には門戸を叩くだろうか。
(K.N wrote)