秋分の日は……


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暑さ寒さも彼岸までの言葉通り、この夏の猛暑もお彼岸に入るや、急になりをひそめて涼しくなった。
つい先日までエアコンがなくては眠れない夜が、急に肌布団を被らねば寒くて目が覚めるほどだ。
最高気温も27~8度とニュースで言われると、数字だけでも涼しい気になるが、私が子供の頃の気温で言えば、真夏の気温ではないか。
さて、今は秋の彼岸である。そのお中日といえば、「秋分の日」。秋分の日には例年、近隣のお寺の施餓鬼法要があり、私も出頭(僧侶として法要に参加)することになっている。
ところが、秋分の日には、私の住む田舎町にある4つの小学校では一斉に運動会が催されるのが常である。もう、うちの子供達は小学校を卒業して久しいので関係ないが、この小学校の運動会と施餓鬼の出頭とがバッティングして、スケジュールを調整するのが一苦労であったことを思い出す。
しかし、改めて考えるとじつはおかしな話なのである。
「秋分の日」は、国民の祝日に関する法律(祝日法、昭和23年7月20日法律第178号)第2条によると、「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ」ことを趣旨としている。
つまり秋分の日は、我が国の法律で定めた、祖先に報恩感謝をするための日なのである。
運動会が悪いわけではないが、わが町に限らず、先祖供養など忘れはてて、運動会で我が子に声援を上げている人も少なくないだろう。
教育の場に特定の宗教を持ち出すのはタブーとなってはいるが、法律で定めてあるこの秋分の日の趣旨を理解し、小学校などでも「家族でご先祖様のお墓に手を合わせに行きましょうね」ときちんと教えることはできないものだろうか。
国内挙ってご先祖に報恩謝徳する日になれば、まだまだこの国も捨てたものではあるまい。
ちなみに春分の日は同条で「自然をたたえ、生物をいつくしむ」ことを趣旨とする。これも、三界万霊に回向する彼岸施餓鬼会と通じる精神だと思う。