正倉院展 -奈良国立博物館-


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今年もこの季節がやって参りました。奈良国立博物館・正倉院展(昨日で終了)。
毎年頑張って朝早くから長蛇の列に並んでいましたが、今年は、「オータムレイト(閉館の1時間30分前より販売する当日割引券)が始まる1時間前くらいに入るのが良い!」との情報を奈良の知人に教えてもらい、言われた通りに参りましたら、土曜日ですのにすっと入れました。
宝物が美しいのは明らかなのですが、この度は、宝物を納めた箱や、その箱を陳列した棚などがえもいわれぬ良い風合いで、私の心はそちらにひかれました。
と、話は変わりますが、友人が、「単なる古い箱とか布やん…」とのたまうおじさまの発言を聞いたらしいのですが、皆さんどう思われますか?
なるほど確かに、「正倉院から何十年に一度出てきて我々の前にお目見えする宝物」という頭があるからこそ、“良い、素晴らしい”と見えるのかも知れませんね。
螺鈿や象牙細工はいわずもがな、誰がどう見ても精緻で立派な細工なわけですが、箱や、退色して朽ちてしまった布などの場合、どうでしょう。こんな事は無い事ですが、そのあたりに打ち捨てられていても、「何かただ物ではない、美しいものがある」と気付く“目”をはたして持っているでしょうか。
そう考えてみると、私の言う「美しい」・「心ひかれる」なども、あやふやで所在無いものかも知れず、おじさんの事を見下して、さも自分はわかった風にいる事はできないものだな……と妙に反省した次第です。