去る12月6日午後1時半より、花園大学教堂において、現在開催している「東嶺圓慈展」を記念しての講演会を開催しました。
講演は、丸山 猶計氏(九州国立博物館主任研究員)による「東嶺圓慈墨蹟に流れるもの」というもので、ご自身が書という物に興味を持ちはじめたことから、今のような仕事をするようになったことを踏まえ、東嶺禅師と関係の深い禅僧の書と見比べながら、東嶺墨蹟についてお話を頂きました。
特に、今回の講演会のポスターやパンフレットにあしらわれている「一華開五葉」「結果自然成」の対幅の素晴らしさを強調され、その筆遣いに魅了されたと話されました。
そして、最後に仰った以下のようなお言葉に感銘を受けました。
「赤ん坊は親から体温をいただいて生まれてくる。だから、言葉より前に体温の方が先にあるということ。天上天下唯我独尊ということを言葉として理解してしまうが、その前には体温というものがあって、その体温が言葉になっていく軌跡が筆跡であって墨跡ではなかろうかと考えている。だから、展覧会の会場において書いて有ることがわかれば終わりではなく、墨跡や筆跡に触れるということは、書かれた人の体温をそのまま感じるということで、筆跡の向こう側にある東嶺禅師の皮膚であるとか血液であるとか骨であるとかを観じながら、ずっと見続けていくことが必要なのだ」。
これからの展覧会での楽しみ方が一つ増えた気がしました。