自坊の前栽庭園

まったくもって自坊の話で恐縮ですが、この秋10月末から約3週間ほどかけて、自坊の書院座敷前にある小さな前栽庭園を、大がかりに造園屋さんにお願いし、手を入れて改修しました。
昨年の総代会や檀家総会で了解を得て、檀家さんには一定額のご負担をいただいて行なっている、諸堂整備の一環としての工事です。


2012_10_30_0004.jpg 2012_10_30_0011.jpg

まずは、こちらが改修前の状態。工事に入られる日に撮ったので、掃除もできていませんが、改修前の庭の様子をご覧ください。
さつきはほとんど枯れてしまったような状態です。というのも奥に見える太い幹は、樟(くすのき)で、庭の上に枝がはり、庭にはいる光をすべてといっていいほど遮っていました。
そこで、造園屋さんには、この樟の枝の伐採も含めて頼んでいました。竹もかなり鬱蒼と生えています。また、苔も、いつのまにかゼニ苔が蔓延り手に負えないほどでした。悲しいほど、庭園の体をなしていませんでした。
お願いした造園屋の社長は、自らも地元の神社や寺院の総代もされているほどの篤信家のようです。
そんなこともあってか、うちのような予算の限られた、かなり無理をお願いしての工事も、薄利に違いないのに、自ら重機を動かし、小さなカラダを動かして、一所懸命に工夫してくださいました。
重機が入り庭にはびこった竹の根をおこし、またレッカー車に釣られて樟の枝をチェンソーで伐採され、いったいどうなってしまうだろうかと、一抹の不安さえおぼえるほどひっくりかえされた庭を、こわごわみていましたが、約3週間たったころ見事に枯山水庭園が仕上がりました。
上記とほぼ同じ位置から撮影してみましたので見比べれば一目瞭然。

2012_12_24_0002.jpg 2012_12_24_0003.jpg

できあがってしばらくすると、成道会の法要を勤修しました。これだけ変わった庭園をみた檀家さん達も大喜びです。
「これはいい庭になった、拝観客受け付けたらどうや、和尚さん」てな声まで聞こえてくる始末。
冗談はさておき、明るい立派な庭ができあがりました。
今までと様子が変わったので、なかなか掃除の仕方に慣れないかもしれませんが、仕上がった庭には大いに満足しているところです。
新しい大きな石もいくつも入りましたが、庭の土中から出てきた塔の台座を使って蹲ができあがったり……。

2012_12_24_0006.jpg

また左下の塔も昔から寺にあるもので、どうやら桃山時代のものだろうと言われています。つまり、この寺が再興されて臨済宗になる前からあるものなのです。新旧入り交じった自坊の庭園の完成です。

2012_12_24_0010.jpg