狛坂磨崖仏 -滋賀県栗東市-


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数年前からずっと、拝みたい拝みたいと思い続け、やっとの思いで叶いました、狛坂磨崖仏参拝。
高さ約6m、幅3.6mの壁面に高さ3メートル、顔幅70cmの阿弥陀如来坐像を中尊として、観音・勢至の両脇侍、その周囲に12体の仏像が半肉彫りされています。渡来人の作で、およそ奈良時代から平安初期にかけての作であろうとされます。
私には、ふくよかな菩薩のお顔に、カンボジアのバイヨンの菩薩を思いました。本当にそっくりです。
さて、新名神をよくご利用になられる皆さんは、金勝山トンネルを御存知ですね?
じつはそのトンネルの真上に、この素晴らしい磨崖仏がおはしますのですよ!!!
まさか磨崖仏様も、山を掘って、奇妙な乗り物で人間が下を通るとは思いもよらなかったことでしょう。
この日は車でのおでかけだったのですが、便利になると人間駄目ですね。ナビを設定して意気揚々と向かっていると、トンネル内で、「目的地に着きました」と。
観音様がおはしますポイントがトンネル内でわかったという点では新発見で、なかなかに面白かったです。

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信楽インターを降り、いつも通る橋を真上に見上げて山道をゆき、一番近い馬頭観音駐車場へ。この駐車場からの眺めが、もう既に素晴らしく、この先にどんな眺望が待ち受けているのかと……。

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途中の茶沸観音もなんとも愛らしく。なぜ茶沸(ちゃわかし)であるのか、誰に聞いてもわからぬようですが、何か民間伝承でも残ってはいないでしょうか。我が研究所の博識氏に尋ねると、例えば近くに峠の茶屋でもあったのかもしれぬとのロマン溢れるお話が。
なるほど、はるかいにしえより、参拝客が絶えぬ地であった事を思えば、さもありなん。
お参りにゆく人々をそっと見守る仏様……という風情も漂っていたように思えて。

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磨崖仏に辿り着くまでにはその他に重ね岩、まるで胎内くぐりのような場所を通り、遠方には天狗岩、国見岩を望み、近江平野の美しくひろがる様を楽しめます。
都から少し足をのばせば、このように古い信仰が未だ連綿と受け継がれ、残る地に趣ける。さらに色々と足を運び、いろんな意味での“繋がり”を楽しみたいと思う今日この頃です。