『禅の寺』 -臨済宗各派本山へのお参り必携-


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先日仕事でお邪魔した建長寺

今更?!ですが、日本の禅宗には、臨済宗・黄檗宗・曹洞宗という3つの大きな流れがあります。
我々に本来そなわる尊厳で純粋な人間性(仏性[ぶっしょう])を、坐禅・読経・作務などの修行を通して自覚(見性)することを旨とするのがいわゆる“禅宗”ですが、「只管打坐(ひたすら坐禅する)」を重視する曹洞宗とは異なり、古則公案という祖師の語録などを基にした問題について、師家と一対一で問答する参禅を行なうのが臨済宗と黄檗宗の特徴です。
臨済宗には14の派があります。 皆さん、全て御存知でしょうか?
妙心寺(京都)
南禅寺(京都)
建長寺(鎌倉)
東福寺(京都)
円覚寺(鎌倉)
大徳寺(京都)
方広寺(浜松)
永源寺(東近江)
天龍寺(京都)
相国寺(京都)
建仁寺(京都)
向嶽寺(山梨・甲州)
佛通寺(広島・三原)
国泰寺(富山・高岡)
そして、もう一つの黄檗宗は萬福寺(宇治市)を本山とし、江戸期に伝わった臨済宗の一派なのですが、お経の読み方などが中国の明音で他と異なるため、日本では黄檗宗として独立しました。
この、臨済宗14派本山と黄檗宗萬福寺の、簡単かつ重要なポイントを押さえた歴史、開山様の生涯、伽藍や文化財、そして年中行事(皆様も参加できる行事があるので要チェックです!)などを一冊(オールカラー写真)に凝縮して掲載した本があるのです(意外にも無いのですよ他には)。
『禅の寺 ―臨済宗・黄檗宗 十五本山と開山禅師』
そのまんまのタイトルですね。いいですね、わかりやすくて(自賛)。
禅に関心を持ち始めた方は、『無門関』や『臨済録』などの比較的読みやすい本や、禅語や坐禅の本から読み始められる事かと思いますが、各派の本山の歴史と、開山様の歩まれた困難な道などに触れるのはまた、禅というものを知り、そこから自身に何か活かせるものは無いかと考え、行動する上で励みにもなります。
そして、そうした思いを抱いて本山にお参りいただくと、ほんとうに感慨も一入です。
普通のガイドブックと異なるのは、やはり開山様のご生涯が詳しく書かれている事でしょうか。
これを知って行くのと知らずに行くのとでは、やはり違います。時の権力者が開山様を招いてまで大寺を建立し、教化に力を入れたいと思われたわけですから……。
旅行で上記に近い所を訪れる際には、是非ともお立ち寄りいただきたい黄檗宗・臨済宗本山のご紹介でした。
※この本をベースにしてできたスマートフォンアプリ「京都禅寺巡り」も、どうぞご利用ください。