高知へ その2の続きです。
吸江寺の兼務をしている還暦の和尚の本務寺院は長谷寺(ちょうこくじ・別名「まきの寺」)です。訪ねたことがないというと、ではみんなで行きましょうと、吸江寺を訪ねた一行がそのまま車に便乗して長谷寺に向かうことになりました。
長谷寺は高知市から東へ1時間近くいった香南市夜須町羽尾の山中にあります。市街地から狭い林道を車で縫うように走ること30分。人里から完全に離れた山の中にあるお寺です。それもそのはず、現在は臨済宗妙心寺派のお寺ですが、もとは神亀4(727)年に行基によって開かれたと言われています。
ご本尊は十一面観世音菩薩と地蔵菩薩像です。住職の許可を得て仏像の写真を撮らせてもらいました。
十一面観世音菩薩はかなりいたんでいますが、頭部にある十一面がかすかにわかります。香南市保護有形文化財に指定されています。
また、境内にある小さな梵鐘は高知県保護有形文化財に指定されていて、やさしく打つと、古えを感じるとても寂びた音がしました。
境内にはほかに鎮守である弁天堂やおよそ歴代の守護者のものかと思われる古い五輪塔が並んでいますが、どこもちゃんと手入れされていて、山奥で人が訪ねるのも少ないであろうにと、感心することしきりです。
しかし一番上の山門の写真にもあったように、ここでは坐禅会も開かれていて、道心堅固な方が集まってこられているとのことでした。
仲間たちとも別れをつげ長谷寺をあとにし、京都へ向かった私たちは、帰路の途中で、淡路島で唯一の黄檗宗の禅寺・国清禅寺(南あわじ市)へ立ち寄りました。
ここは、南画界の第一人者・直原玉青和尚が復興したのですが、本堂は阪神淡路大震災の被害がまだ残っている状態でした。お寺の近所に、滝川記念美術館玉清館があり、玉青和尚の描かれた書画が展示されているので観てかえることとにしました。
玄関を入ってすぐの3層の天井に描かれている雲龍図は、直径約6mほどの大きな画ですが、玉青和尚は一晩で描かれたとのこと。ほかにも12枚の画からなる「うしかひ草」(牧牛図)など、水墨画や着色された大きな南画が展示されていて、見応えがあるものでした。
こうして、高知行一泊二日の旅は終わりました。全国各地に仲間がいるというのは、楽しいものです。