このブログでもすでに2度、記事にしていますが、現在、渋谷東急 bunkamuraにて開催されている「白隠展 -禅画に込めたメッセージ」を、やっと観に行くことができました。
何しろ、100点もの白隠禅師の書画を一度に展観している展覧会は、めったに出逢えるものではありません。開催時から観に行きたくて仕方がなかったのですが、やっと叶ったといったところです。
3連休の初日土曜日の昼下がり、どちらかというと夕方に近い時間でした。
渋谷ハチ公前のスクランブル交差点の人の波には、いつも溺れそうになるのですが、久しぶりの東京渋谷は、相変わらずの人混みでした。また渋谷駅が大規模な工事をしているので、なんだか、普段ひっそりと生活している者には、頭の中で半鐘を打たれているような気分です。
まっすぐbunkamuraを目指します。
地下にあるミュージアムに入ると、すぐに白隠の書画が目に入ってきました。多くの方が来場されていますが、比較的じっくり観ることができるほどの人数でした。部下が行ったときにはもっと多かったのかも知れません。
図録では何度も見たものがほとんどなので、私にとって決して目新しいわけではないのですが、やはりホンモノを目の前にすると、とても感動的です。予想していたよりもなんとも圧巻。
また、今回の展覧会のポスターやパンフレットにあしらわれている「布袋お多福を吹く図」は、大洲のお寺から新たに見つかったものらしいですが、これは大きな対幅で、とても素晴らしい作品でした。
また、42歳で大悟するまでの画と、大悟してから晩年までの画の違いは一目瞭然。同じ達磨を描いた麼ものでも若い頃の繊細なタッチと比べると、大悟後の画のユニークさといったらありません。ただそれをただユニークだと受け止めていられないのが白隠の書画。
展覧会のキャプションでは、あまり詳しく書かれていないので、キャラクターの面白さや、構図の楽しさに目を奪われ勝ちですが、白隠禅師法語全集の仕事をしていた時に知らされた、痛烈な幕府批判や民衆教化、弟子の育成叱咤の言葉が、随処にちりばめられています。
たまたま、今回の展覧会の監修者の一人、芳澤勝弘先生が来られており、声をかけてもらいました。先生は前職が、禅文化研究所の編集主幹だったので元直属上司。沼津永明寺蔵の若書きの巨大な達磨像の上には、じつは賛が書かれていたのではないかと思われるというような、キャプションには書かれてないミニ講座のようなお話も聞かせてもらうことができました。
展覧会は2/24(日)まで。あれこれ難しいことを考えなくても、また、白隠禅師のことなど知らない人でもきっと楽しめます。なぜ東京国立博物館ではなく、若者の集う渋谷のbunkamuraにて開催されたのか。是非、その不思議を探ってみてきてください。
ついでに、リニューアルされた東京駅、なかなかの壮観でした。丸の内北口や南口のドーム天井も美しかったです。それと、いたるところにあるポスターなどで、東京にオリンピックに招致しようというムードが満ちている東京でした。