本日発刊 『景徳伝灯録 五  巻13~15』と入矢義高先生の思い出


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『景徳伝灯録』の訓注本として、平成5(1993)年に第一回配本の『景徳伝灯録 三 巻7~9』が発刊され、その4年後に第四冊が発刊されて依頼、じつに16年ぶりの今日、第三回配本としてその続編、『景徳伝灯録 五  巻13~15』が上梓された。
第四冊刊行の翌平成10(1998)年に、本書の研究を行なってきた禅文化研究所景徳伝灯録研究会の教授であり、唐代語録研究の重鎮として入矢義高先生(京都大学名誉教授)が逝去された。
不肖も、花園大学の学生時代に入矢先生の授業を受けたことがあるが、座った席順に語録を読み下しさせられ、もちろん予習をしていないと読めるはずもなく、こてんぱんに批難されるために恐ろしくて仕方ない授業だった。授業には学生だけでなく、先生方も受講されていたことを記憶している。
入矢先生は、お酒の席も好まれた。記憶に深く残っているエピソードがある。
一つは、宴席の一次会が終わってタクシーを呼び、先生にお帰りいただこうと乗ってもらったが、「私はまだ飲みたいのだ」とおっしゃって、なんと反対側のドアから降りられてしまっていたこと。
それから、常々、京都駅前の京都タワーを嫌っておられ、飲むと口にされていたのは、「もし手元にバズーカ砲があれば、あの醜悪なタワーをなぎ倒したいと思う」ということだ。
少々過激だが、ある意味その圧倒的パワーをもって、大部で難解な伝灯録の基礎研究を進められていた。そこには、この研究会が始まった頃から盛んになった中国口語史研究の成果も踏まえられた。そして関係学者が集った。今、その入矢先生の元に集まった研究者の方達が、検討に検討を重ねて産み出したのが、この『景徳伝灯録 五  巻13~15』である。
本冊に収録されるのは、風穴延昭、首山省念、圭峰宗密、石頭希遷、丹霞天然、薬山惟儼、雲巌曇晟、徳山宣鑑、洞山良价、夾山善会など、公案や禅録を少しでもかじった方ならよく目にする重要な禅僧である。
是非、その成果を手にとって読んでいただきたい。
『景徳伝灯録 五』についてはこちらから。