自給自足の暮らしから


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1月の事ですが、有り難い事に、とある所で自給自足をなさっている方のお話を拝聴する機会をいただきました。
「自給自足」と聞くと、なんとなく憧れるものの、自身の生活とはあまりにかけ離れている為、実際にしている方は「シビアで偏った方なのだろうか」との先入観がありましたが、そんなつまらない想像とは全くかけはなれた、とても気持ちのよい方で、私はいっぺんにその方に魅了されてしまったのでした。
地に足のついた、自然のサイクルと共にある日々の暮らしから発せられる飾らない言葉は、どんな言葉よりも力強く、私の心に響き、何故自分が泣いているのかもわからないほどに、今までの日本を思い、震災を思い、自身の暮らしや心持ちを思い、こみ上げてくるものを抑える事ができませんでした。
以前、建長寺の管長様にインタビューに伺った折に、「坊さんはただやるべきことをやればいい」と、坐禅や作務、朝のお勤め、お経をよむことの大切さを口をすっぱくして仰っていらした事が脳裡に浮かびました。
どれだけうまく話をしたところで、実践を伴っていなければ、それは人の心に深く残らず留まらず……。建長寺管長様の御言葉は、慈悲深い叱咤激励であると改めて感じ入りました。
そして、何故1月のあの日、嗚咽するほどに泣けて仕方なかったのか、それを未だに時々考えていますが、自分なりの答えをみつける為にも、近々お邪魔してさらにお話を伺い、皆様にも季刊誌『禅文化』にてご紹介できたら……と思っています。
近頃、「出家せずとも、この方はお坊さんのようだな……」と思うような方によく出会っています。
そんな素敵な方々のうちの、お一人なのです。