友人が、「これって……」と出してくれた本を取り上げる勢いで手にし、嬉々として見入りました。
なんと、長崎の黄檗宗のお寺、聖福禅寺のご住職(田谷昌弘師)が作られる普茶料理が紹介された本ではありませんか!!!
こんなマニアックな本が出版されているとは、非常に喜ばしい事ですね。
なんとなく、精進料理の本となると、見かけるのはやはり永平寺さん関連の本や、臨済宗の本が多いように思います。
“普く大衆に茶を施す”普茶の精神は、日本の食文化の原点。
その美意識は長崎の禅寺で脈々と現代に息づく。
“普茶料理の鉄人”がつくる珠玉の77品。
楽しく残さず召し上がれ!これも作法のひとつ。 (帯より)
普茶料理の精神やルーツから、開山隠元禅師のエピソード、そして巻末には聖福寺の歴史や伽藍等の紹介まで。
“料理の本”というに留まらぬ、奥深い一冊となっています。
もちろん、肝心の料理に関しても、彩り鮮やかでそれは美しく美味しそう。
飽食の時代に生まれ育った我々は、肉魚が無くてはなんとなく質素すぎる、ものたりないと考えがちかもしれませんが、精進の世界は無限大に豊かなのです。
さらに、中国より伝わった普茶料理は、“揚げ”物も多く、大皿に美しく盛られた料理には、とても力強い印象があります。
私は、料理を作るわけでなくとも、元気の無い時や、なんとなくしんどい時などに、美しく美味しそうな料理の写真が多く載っている本を眺めます。それだけで元気が出るような心地がするのです。
この本も、そんな一冊に加えられました。
オールカラー、この豊富な内容で2100円。安すぎませんか?!とまで思ってしまいます。
是非お手に取ってご覧いただきたい本のご紹介でした。
『長崎・聖福禅寺の普茶料理』 聖福禅寺 田谷昌弘 長崎新聞社刊