真言宗豊山派の総本山、奈良の桜井市にある、豊山・長谷寺を訪ねた。
桜、木蓮、藤、紫陽花、紅葉、寒牡丹と、一年中、花の絶えないお寺として有名ではあるけれども、今が一番花が少なくひっそりしているのではないだろうか。
私は人でごった返しているお寺より、ひっそりと閑静なお寺にお参りする方が心が落ち着くので好きだ。
長い回廊階段を登り詰めていくと、途中、終わりかけの寒牡丹とは裏腹に、蝋梅が咲いて、いい香りを放っていた。足元には福寿草もきれいに咲いていた。
登りきって国宝の本堂にたどりつく。
この長谷寺のご本尊は十一面観音で、その高さや三丈三尺六寸、つまり10mを超える大きさなのである。
パンフレットを見ながら大きな仏さんなんだなぁと思いつつ真前にむかったが、正面に向かい合って手を合わせると、その美しさに茫然とし、ああ、我ら衆生を導いてくださっているのだなぁと実感でき、感激して涙腺が緩むほどであった。
いわんや、ここは西国三十三観音霊場の第八番なのである。
本堂には、清水寺と同様に外舞台があり、朱色に塗られた五重の塔が見える。
また、眼下に見下ろすと山内が一望でき、その凜とした空気を感じ取ることができた。臨済宗のお寺とはまた違っている。
帰路に、ふと車窓を見やると、なにやら見慣れぬものが・・・。そう、このあたりは三輪そうめんの産地なのであった。また夏になったら美味しくいただくことができますように。