臨黄ネット 栞いろは歌より
京都に引っ越してきて初めて遭遇した事の一つに、”雲水さんの托鉢”があります。
これは恐らく、京都や鎌倉やその他、修行道場が近くにある地域ならではの光景かと思います。
意外に京都に生まれ育った人でも知らないのが、雲水さんの出す掛け声。実は、「ほーーーーーぅ(法)」と言っています。そして、京都に住まう多くの方が、小さな子が言う事を聞かない時は、「おーのおっちゃん来るよ」と、まるでなまはげのような扱いをしている事もリサーチ済みです。
正直、雲水さん達は若い方が多く、おっちゃんではないと私個人的には思うのですが……。あの低く腹から出す大きな声が、なまはげや、おっちゃんを連想させるのでしょうか。
そんな事はさておき、托鉢をする雲水さんにお布施をさせていただきたいけれど、方法がわからないのでいつも見送ってしまう……という方の為に、お布施の方法をご紹介です。実は私もわからず、研究所の上司に聞いてから実践しましたので、知りたい方はいらっしゃるのではないかと思いました。
1.托鉢の雲水さんの声が聞こえたら、お布施を用意し、合掌しつつ、近寄ってこられるのを待つ。
2.雲水さんが気付いて、自分の前に立たれたら、互いに合掌一礼。
3.雲水さんが首から下げている看板袋の前垂れ(袋の蓋のようになっていて僧堂名が白く書かれている部分)を自分の前に出してくださったら、その上にお布施を置く。
4.雲水さんが前垂れに置かれたお布施を、滑らせるように袋の中にしまえば、また互いに合掌一礼。
無言のうちにこれらの事を終えます。
勘違いしてはならないのが、布施というのは、してあげているのではなく、「させていただいている」「功徳を積ませていただいている」という事。我々(在家の者)が、財施をさせていただいているのです。そしていつか雲水さんは和尚になって法を説かれ、法施となって私たちに戻ってくることでしょう。
六波羅蜜の一つ。私にとって、分かち合う事の尊さを学ばせていただく朝は、なんとも清々しいものなのです。