さて、長々とお付き合いいただいた金沢の旅のご紹介もこれで最後です。
唯一一般公開されている武家屋敷跡、野村家を訪れてみました。
兼六園はもちろんのことなのですが、加賀・金沢というところを知るてがかりとしては、こちらのお宅の庭を拝見するのが一番色々な事が見えてくるのではないか……と思えました。
百万石の江戸時代から明治の廃藩置県、大正時代の紆余曲折、数奇な運命を経て守り続けられたこの庭が語りかけてくるそのものが、金沢の歴史と文化そのものなのでした。
比較するのも変な話ですが、京都のお庭との対比もしやすいように思いました。
この日は雨で、庭の苔も石もしっとりと……えもいわれぬ美しさで、二階の舟形の茶室から一階の庭を眺めていると、時間などはあって無いようなものなのでした。
今年もはや、長雨の季ですね。しっとりと濡れた金沢の町もまた情緒あることでしょう。
京の都に降る雨に、野村家の庭を思い出しています。