バリ島で出会いました様々な手しごとを、vol.1 vol.2と紹介してきましたが、最終回です。
バリ島東部に位置するテンガナン村。
独自の文化を保ち、村はいまだ高い塀で囲まれています。少し前までは足を踏み入れる事もままならず、この村以外の人と結婚した女性などは、村を立ち去らなくてはならないなど、様々な厳しい掟を守り続けてきた人々が住まう村です。
村の人々は、自分たちの事をバリアガ(選ばれし民族)と呼びます。そもそもバリはインドネシアという国になるまでは王国で、その当時からの文化を今なお守り続けている自負があるのでしょう。
そんな村で代々伝えられてきたのが、ダブルイカット(経緯絣・たてよこがすり)・グリンシンです。ダブルということで、経糸も緯糸もあらかじめ染めておいてから、それを織り、文様を生み出してゆくのです。言葉で聞いても、あまりに難しくて意味が全くわからないほどですね。
この技法、世界広しといえど、この村とインド、そして日本にしか伝わっていないという事からも、非常に深い縁を感じます。
インドネシアの布といえば、その文様によっては王族にしか着用が許されなかったり、病の平癒を願い身にまとう布があったり、人生の節目や大切な儀式において使われる事で有名ですが、グリンシンもまた同じ、いえ、さらに様々な深い意味合いを持った布のようです。詳しくは便利な事に色々とネット上で検索すれば出てきますので、ご関心のある方は調べてみてください。
日本での着物の着用も、昔は色々あったであろう決まり事や、布の持つ色々な意味合いがどんどん無くなってきており、それが良いか悪いかは定かではありませんが、いまいちど、昔ながらの伝統を守る暮らしを続け、神聖な布を織り続けている人々の所へゆけば、見えてくるもの、教えていただけることがあるのかもしれません。