物 黒 無 monocrome -正木美術館-

 

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大阪は南の方、泉北郡忠岡町という、泉大津市と堺市に挟まれたごくごく小さな町に、珠玉の名品を多々所蔵する美術館があるのです。

正木美術館

今後ご一緒に何か新しい試みができたら・・・と、館長の高橋範子先生にご挨拶に伺っていました。
高橋先生が水墨画・禅画のことを語られたら、興味無い人ですら、その深淵なる世界にひきこまれてしまいます。そんな風に、画の事を情熱を持って、わかりやすく、楽しく、多くの人に伝えていらっしゃる方です(先生のご著書はこちら)。

正木美術館の展示も、他とはひと味もふた味も違います。
今回は、国宝の大燈国師墨跡や重文の雪舟と、写真家・現代美術作家として日本が世界に誇る杉本博司氏の作品、所蔵品とのコラボレーションが見事に成立しているのでした。

私の場合は、大燈国師さえ展示されていたら観に行くかもしれませんし、禅宗のお坊さんたちもそうかもしれません。また、逆に、デザインや現代アートの世界にいる方は、杉本氏の作品やコレクションが出ているという事だけでも、足を運ぶかもしれません。
ここで出会うものが、今まで足を踏み入れなかった世界であった・・・という事が、起こりうるのです。この美術館に足を運んだ事で、新たな可能性や世界が広がり、知らなかった自分に出会えるかもしれません。
私は、ものごとを見る時に、真の部分となるのはいったい何であるのか・・・そういった事を考えさせられました。

また、杉本氏の作品やコレクション、そして“杉本表具”といわれるあたらしい形の表装にいたく感動してしまいました。世界で認められている日本の芸術家が、大燈国師の墨跡を愛蔵されている(表具をみたら愛蔵ぶりがわかります)事も、新鮮な驚きなのでした。

この展覧会の主旨はこちらに。とても面白く興味深いので、是非ともご一読いただき、足を運んでみてくださいね!
お茶会や、子どもが参加できるようなワークショップの企画も充実しています。
私は、後期の展示品入れ替えの後に、また訪れたいと思っています。