聞こえない音の話

131021-1.jpg『古事記』を題材にした舞台、『アマテラス』を鑑賞してきました。大音響で打ち鳴らされる和太鼓の迫力とアマテラスの神々しさに、観ているだけでカタルシスを得られたような。

ところでこの作品では、神話とはいえ仏教の法器もいろいろ使われていたことが興味深かったです。

たとえば禅宗でいうところの

131021-2.jpg鐃祓(にょうはち)

 

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引磬(いんきん)

などに近い形状のものや、

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チベットのシンキングボールも用いられていました。

 

法器の音やお経を聞くと何となく心が落ち着きますよね。これにはちゃんと根拠があって、ものすごく大ざっぱに書くと、こういうことのようです。

「音」の中には、人間が聞き取れない、あるいは聞き取りにくい周波数を持つものも存在します。法器は、そういう「聞こえにくいけど人間にとって心地良い音(倍音・ばいおん)」をたくさん発しているのだとか。僧侶の読経にも同じことがいえるそうです。

倍音の定義は長くなるので、ここでは割愛させてください。とにかく、ビィ~ン……と震える余韻などに多く存在する音といえば、何となくイメージしていただけますでしょうか。これらの音を浴びる「倍音浴」というリラクゼーションもあるようで、“観劇後の妙にスッキリした感覚”は、「む!倍音の効果もあったに違いない」と思ったりしています。お仏壇の前で「おりん」を鳴らされる時など、一度“聞こえない音”がもたらす精神的な癒やしも意識していただけると面白いかもしれません!

倍音については、こんな本もおすすめです。
『倍音 音・ことば・身体の文化誌』(中村明一・春秋社)