「ずいぶん方々旅をしたが、こんなに閑でうっとりするような山村を私は知らない」
『かくれ里』 白洲正子
白洲さんがこの地で最期を迎えたいと仰ったほどに愛した地、和歌山の天野へお邪魔し、丹生都比売(にうつひめ)神社へ参拝。宮司の丹生様にご案内いただく機会を得る事が叶いました。
この丹生都比売神社、創建はおよそ1700年前と伝わり、かの弘法大師空海が高野山に金剛峯寺を建てるのも、丹生都比売大神様のお許しを得て、大神様の神領に建立されたのです。よって、今もなお、高野山の僧侶の参拝が途絶える事無く続く、神仏混淆の姿を拝める貴重な神社となっています。
ちょうど平成のご造営が進められており、本殿の第1殿・第2殿の檜皮を葺き替え、彩色を塗り替えられていらっしゃいますが、その様子を間近で拝見させていただく事ができました(詳細はこちら)。
本殿前には、たくさんのお札が納められています。高野山の僧侶が護摩だきの祈祷をされたり、葛城山で修験の修行に入られる際には、成就を願ってまずはこちらに参拝されます。その祈願の為にお納めになられたお札だったのです。
この天野の里、明治の廃仏毀釈以前には、神仏混淆のお堂がたくさんあり、まさに日本人の宗教観そのものといった風景が見られた地でしたが、現在はその跡を残すのみ。それでもにわかにその空気を今もなお感じ取る事のできるかくれ里。
今回は時間が無く、丹生都比売神社のみの参拝となりましたが、次回はゆっくり歩いてまわりたいものです。