東北の被災地を再訪 1

去る10月末の土日を利用して、3.11のあの大地震から1年後に訪ねて以来、久しぶりに東北の地を訪ねてきました。
今回は、自坊の新年会で檀家さんに「一緒に東北に行って慰問してきましょう」と募っての1泊2日の団体慰問。団体といっても12名の小さな団体ですが、同行してくれた檀家さんたちには、住職として嬉しく感謝の気持ちで一杯です。
ただ非常に強い台風27・28号が一緒にやってきて、「藤原の効果」などという状況で、台風の進路が危ぶまれ、旅行を中止しなくてはならないかという判断に押し迫れ、やきもきしましたが、台風が東寄りに進んでくれたため、旅行を決行することができた次第。仏天のご加護と感ぜずにはいられません。

さて、自坊を出て伊丹空港から空路、仙台空港へ。空港からは小型の貸し切りバスにて移動です。
仙台空港も津波の被害を受けて、震災直後は大変な状況だったと、現地のバスガイドさんの声。空港の壁の見上げるような位置に津波の到達水位が掲示されています。
小雨が降っていたので、空港近くの閖上(ゆりあげ)地区を車窓から慰問。海に近いので、相当な被害があったとのことです。
案内して下さるガイドさんも石巻出身の方で、自身のお母様が震災時に入院中でしたが、震災により医療機器が正常に使えなかったため、震災後10日でお亡くなりになったとか。知人ご友人のお話もまじえ、2年半が経ったとはいえ、未だ更地のままの被災地を見ながらのお話は、重く心に響きました。

昼食の後、私たちが向かったのは、震災の被害は少なかったという日本三景のひとつ、松島です。

日本三景の一つだからと訪ねたわけではありません。松島といえば瑞巌寺。臨済宗妙心寺派の名刹があります。じつは、自坊の勧請開山は、松島瑞巌寺を中興したあの雲居希膺禅師の弟子にあたります。そういった御縁が瑞巌寺と自坊にはあるのですよと、檀家さんたちに伝えたところ、今までお参りしたときには知りもしなかったとのこと。ぐっと意識も深まったようです。

瑞巌寺参道

さて、参道両側には以前、大きな杉の木がたち並び壮観だったのですが、ごらんのとおり、参道左側はごっそりと杉の木がありません。これは山門近くまで押し寄せた津波により、杉が立ち枯れしてしまったために伐採したあとなのだそうです。

現在、瑞巌寺のご本堂は大改修中。これは震災の前から始まったようですが、まだ数年かかるという大工事。というわけで、仏像やお位牌は庫裏の中に仮本堂として祀られてありますが、その庫裏の前で、私たちの到着を知って、瑞巌寺住職の吉田道彦老大師が親しくお迎え下さいました。

職員の和尚様から懇切丁寧にご案内をいただき、檀家さんたちにもよくわかったことでしょう。そして、何度か瑞巌寺を訪ねている私も初めて目にしたのがこちら。伊達政宗公の正室陽徳院(愛姫)の御霊屋です。これは、本堂や庫裏からは少し離れた、瑞巌僧堂の裏手にあり、本堂の大改修期間中のみ公開されているということですので、瑞巌寺を訪ねられる方には是非ともおすすめしたいところです。
一目見た瞬間、ハッとするほどの豪奢な御霊屋です。まるでお祭りの御神輿のようでした。

瑞巌寺で特別公開されている陽徳院(愛姫)御霊屋陽徳院御霊屋このあと、松島の夕景色を楽しみながら、近くの旅館に一泊し、翌日は気仙沼へと向かいました。

日本三景 松島