これまでに幾度もご紹介させていただいております北村美術館。
こちらは毎度、茶事形式での展観(今回は寄付・濃茶席・続き薄)にて、拝観後はさながら何時間にもおよぶ茶事を楽しんだ後のように満足できるのが特徴です。
-夕ざりの茶-
はて、夕ざりとは?!と思っておりますと、いただきました展示目録にありました。
近代数寄者の茶会記を繙くと、社会的に多忙な財界人である彼らは、仕事を早くに切り上げられる日に集まり、夕方のまだ日のあるうちに席入りし、その後灯火も必要となるような時間帯に寄り合い、茶事を楽しむ事をなさっていたそうな。
冬の夜長を楽しむ「夜咄(よばなし)」の茶事とも違い、季節は関係なく行なったのが夕ざりの茶事だそうです。
忙しい合間を縫ってそのように茶事を行なった事、我々茶の湯を稽古する者としても見習わねばなりません。と、自分で書きつつ耳が(目が?)痛いです。
その昔の天下人や武士たち、そして近代の数寄者でもあった財界人、一服の茶に何を求め、何を見ていたのでしょう。数々のそれは素晴らしいお道具を拝見しながらしばし感慨にふけりました。