初めて聞いた言葉でした。
浄土真宗の篤信者を、こう呼ぶのだそうです。語源は、『観無量寿経』の「念仏者は人中の分陀利華〔白い蓮華〕」という一節。仏さまの徳を表わす蓮華(中でも貴い白蓮華)にたとえられるほど素晴らしい人、という最高の賛辞のようです。
しかもこの言葉を真宗以外の人に初めて紹介した人物が鈴木大拙であると聞き、気になって本書を手に取りました。
様々なエピソードが掲載されているのですが、こんなにピュアな世界があったとは。
なにより、妙好人は僧侶でもなければ、特別社会的地位の高い人物でもなく、あくまで一般の信者であるという点に引き込まれました。親しみやすいけれど信念があって、決しておごらず一生懸命。早い話が、魅力的な人ばかりなのです。あまりに純粋なので、今の時代なら「不思議ちゃん」扱いされる場面もあるかもしれません。
とても印象的な一冊でしたが、何に対して自分の心が動いたのかをうまく言い表せず、しばらくもどかしく思っていました。後日、柳宗悦が述べた妙好人と民芸品の共通点についての文章を読み、ようやく納得。「意識して作られるものとは異なる素朴な美しさ(要約)」。これだったんだな~と、改めて心が温まりました。
いい本に出会えると当分幸せですね。寒い夜にこそ、お読みいただきたい一冊です!
『妙好人』