秋の夜長にいっぷく

131118.jpg秋の夜長を一人楽しんでおります。

【棗】
11年ほど前にミャンマーの工房にて求めました。
タイやミャンマーなどでは、ビンロウの実に石灰をまぶして、キンマという植物の葉に包んで蝴凾゙習慣があります(道ばたでそれをペッと吐いているのを見て、びっくりしたものです!)。その材料を漆器の入れ物に入れて客をもてなしました。
漆器は中国から伝わり、ミャンマーでも独自の文様が生まれ、さらにそれが日本へ伝わると茶人の間で珍重され、その塗りを上記の理由から、「キンマ」と呼びました。
そのキンマの元祖をミャンマーで求めたのがこの棗です。日本のように蓋がぴたっと合うほどに精巧には作られていませんが、何ともいえない味があります。
日本のような木地では無く、竹ひごを作ってからそれをしっかりと編み、それから轆轤で削り形を整えてから漆を塗り重ね、文様を彫っていくという工程なのです。工房では実際に作っている所が拝見でき、また、漆器美術館ではあまりに人がいなかった為館長さんがご案内してくれたのも良き思い出です。仏教遺跡を訪ねられる方は、是非ともミャンマーの漆の文化にも触れてみてください。

【茶碗】
丹波・二代目市野信水作
実家が兵庫の為、よく丹波の窯元には家族ででかけました。25歳の頃に一目惚れし、今は亡き父にねだって求めた茶碗です。堀内宗心宗匠のお箱書をいただいており、ご銘を、“謝茶”といいます。作家さんのお母様がこの茶碗の為に、古い丹波布で作ってくださったお仕覆がこれまた素晴らしいのです。

【茶杓】
禅僧であった祖父が毎日の一服に使っていた何でも無い茶杓です。ですが、何十年も毎日使われていた為、飴色になり、素晴らしい風合いです。お金では買えない価値がそこにはあります。

【茶】
石本川口軒 錦の森
お稽古場でいつもいただいているお茶と同じもの。非常に美味しいお薄です。

【菓子】
同僚からいただいた吹き寄せ。ご製は俵屋吉富。

【菓子器】
川合優作 蓮弁皿 薄くひいた檜で作られている使い捨てのお皿です。でも、まだ使うつもりです。お菓子の風情にとても合っていて一人ご満悦でした。

旅先で求めたもの、家にあるもの、私の元へ集まってきたもので楽しむ食後の一服は、わくわくするものです。日々のくらしに、わくわくをお忘れなく!