今夜はクリスマスイブ。多宗教のわが日本では、家族でケーキを囲んで団らんし、サンタクロースが子供たちにプレゼントを贈るという素敵な夜がやってくることでしょう。
宗教に対しての軽い感覚はともかくとして、こうして過ごす家族の団らんというのは、きっと将来、いつまでも子供たちの心に残っていくんでしょうね。
さて、先般、京都シネマで『ペコロスの母に会いに行く』という邦画を観てきました。
そもそもあまり大きな映画館でやっていなかったし、ロードショーもほぼ終焉で観ることのできる映画館が少ないので、ご紹介しても観ていただけるかどうかわかりませんが、いずれDVDでも出ることでしょうから、是非ご覧頂けたらと思いご紹介いたします。
赤木春恵演じる認知症の老母と、岩松了が演じる息子ペコロス(ハゲでバツイチ)を中心とした、長崎を舞台にした家族物語です。原作は岡野雄一作の漫画。彼の実生活をもとにした作品で、ベストセラーを続けたのでご存じの方も多いことでしょう。
前半から中盤にかけては、劇場内からも何度も笑い声がこぼれるほどユーモラスなシーンが描かれます。しかし次第にひどくなる認知症の母を葛藤の末にグループホームに預けるペコロス、最近の記憶はどんどん失われていくが古い想い出が蘇り、その狭間を行き来する意識の中に生きる老母に、だんだんと引き込まれていき、終盤にはポロポロと涙しておりました。
とてもほのぼのとしたこの映画を観ながら、最近、物忘れが多くなった我が母とこの先を思い、自分が小さい頃の母との思い出も知らぬ間に回想していたのです。
そしてこの映画を撮ったのは森﨑東監督。映画を観た後に知ったのですが、彼自身も認知症になりつつあるという現実の中でこの映画を撮ったそうです。先日、NHKのEテレで、ETV特集「記憶は愛である~森崎東・忘却と闘う映画監督~」という番組をやっており、映画『ペコロスの母に会いに行く』の撮影秘話を知ることもできました。28日(土)に再放送があるようですよ。
このところ、終活という言葉がよく使われ、人々がエンディングノートにも興味を持ち始めています。どうやって自分の人生を終えていくか、ここに注目されているというのは、とてもいいことだと思います。
この世に生まれた限り、誰にも隔てなく約束されているのは、死ぬことだけなのですから。
どうか、いつか自分の人生を満足して終えられますように。