美術館「えき」KYOTOにて開催中の、「御釡師400年の仕事 -大西清右衛門 茶の湯釡の世界-」へと足を運びました(本日17時までです!!!是非!!!)。
お茶の稽古をしていなければ、ほぼ一生知らずに終わる存在である釜師。その仕事というものが、大々的にこのような美術館で紹介される事を好ましく思いました。
御釜師というその名の通り、茶の湯で使われる釜を主に制作する職方で、大西家は千家十職にも名をつらねる職家です。
鉄という素材があそこまで様々な表情を見せる事に、初めての方は驚かれた事と存じます。茶の湯を稽古する者も、改めて普段使うお道具の奥深さを知る機会となりました。
「あなたの好きな釜は?3つ挙げてください」というアンケートを行なっていました。興味無いかもしれませんが、私の3つをご紹介。
1、古天明 茄子釜 銘「金槌」
2、天明 播知釜
3、芦屋 月ニ波兎地文繰口釜
一位はありきたりですが、利休さんが藪内剣仲に贈ったと伝わる釜です。ハッと息を飲む意匠。まさに金鎚でわざと釜の肌を打ち砕いたような・・・。
やはり利休さんは同時代はおろか、歴史に比類なき天才です。
この釜を拝見していますと、正月に我が研究所の所長が書いていた下記のことばが思い浮かぶのでした。一見わけのわからない禅語、公案?!のような釜なのです。
ガーンと頭を打たれたような衝撃でした。
「このような本分の機語はわれわれを焦げ付いた常識から開放しようとする禅者の鉄鎚なのです。固定観念に囚われて窮屈に暮らしているわれわれ凡人の常識を粉砕してやろうというわけです。意味を理解しようとしたら、また新たな鉄槌が下るでしょう」
二位は、佐久間真勝所持ゆえ、龍光院に伝わった釜。半端ない品格をたたえている事、所持者に愛された事などがひしひしと伝わってくる釜です。どれでも使って良いと言われたら、これを使ってみたいと思いました(天変地異を起こしてしまいそうなくらいに分不相応な事を承知の上で言ってみましたのでご放念ください)。
この釜1つで、佐久間真勝という人に会ったような気分になる、もっと彼を知ってみたい・・・そんな釜でした。
三位はほっと一息、胴がたっぷりした芦屋釜。表は月に兎、裏は鷺という美しい地紋に魅せられました。
現在大西清右衛門美術館にて開催中の、「新春の寿ぎ -福をよぶ茶道具-」も近々お邪魔する事としましょう。